…( もし 一国の 大統領や 一国の首相に ならなかったら
彼らは 自分自身や ほかの人たちに目にもの見せることができない
自分自身の中でも，彼らは弱さを 感じている
彼らは 自分たちを 権力へと駆り立てる )
だが，どうして
大統領になることで あなたが力を持つことなどできる?
奥深いところで
あなたは 自分の弱さが ちゃんとそこにあることを ご存知だろう
実際のところ，それは前より なおさら感じられることだろう
なぜならば，いまや そこには ひとつのコントラストが あるからだ
外側には 力が あり，内側には 弱さが ある
なおさら クリアーだ
黒雲と その白銀の縁どりのようなものだ
それが実状なのだ
内側では あなたは貧しさを感じる
そこであなたは 物を むさぼりはじめる
欲深に なる
あなたは物を 独占しはじめる
そして，それは どこまでもどこまでも どこまでも続いてゆき
いくらいっても きりがない
そして，あなたの全人生が 物の中に
貯蓄の中に 空費されてしまうのだ
だが，貯め込めば 貯め込むほど
あなたはなおさら鋭く 自分の内なる貧困を感じるものだ
外側の豊かさに 比較して見ると
それは 容易に 見え透いてしまう
あなたが このこと
つまり 弱さが 強さになろうと がんばっているのを見たならば
それは 愚かしいものだ
どうして弱さが 強くなんかなれる ?
これを見てしまえば，あなたは 強くなりたがったりしない
そして，あなたが 強くなることを 求めないとき
弱さも あなたの中には とどまれない
それは 強さという 観念があって はじめてとどまれるのだ
それらは連れ立っている
電気の 陰極陽極のようなものだ
その二つは 共存する
もしあなたが，強くなろうとする この野心を落としたら
ある日，突然
あなたは 弱さもまた消え失せているのを見出すだろう
それはあなたの中に 踏みとどまっていられない
もしあなたが 裕福になるという観念を落としたら
どうして自分自身を 貧しいと考え続けたりできる
どうやって 比較する
そして，どうやって 自分が貧乏だと判断する ?
何に対して ?
何ひとつ あなたの貧しさを計る可能性があるまい
富という
裕福になる という観念を落とすことによって
ある日，貧しさが 消え失せる
知識への あこがれを落とし
物識り顔を落としたら
どうしてあなたが無知でいられよう ?
知識が 消え失せるとき
それにともなって，その影のように無知が消え失せる
そのときにこそ，人間は賢く(wise) なる
知恵(wisdom) というのは 知識(knowledge) じゃない
知恵というのは，知識と無知 両方の不在なのだ
可能性は 三つある
あなたは無知であることもできる
無知で物識りであることもできる
あなたは 無知も知識もなしでいることもできる
その三つ目の可能性こそ 知恵(wisdom) の 何たるかだ
それが 仏陀が プラジュニャーパーラミター(般若波羅蜜多)
彼方の知恵，超越的な知恵と呼ぶものなのだ
それは知識じゃない
まず第一に，この 強さへの欲望を落とし
そして，見守ってごらん
ある日あなたは びっくりするだろう
あなたは踊りだすだろう
弱さが 消えてしまっている
それらは 同じコインの裏表なのだ
それらは共生している
それらは道連れだ
ひとたび あなたの実存の中の この事実を 見抜いたならば
そこには 大いなる変身がある
二番目の質問(02)終わり・・・(三番目の質問)(01)へ 続く
