saleemのブログ

「 先ず一歩 内なる旅に 友は無し 」Zen柳

第四章 「そのままにしておきなさい」 (第二の質問)(02)

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だがそれは、生の川を漂いながらやって来る。


わかるかね ? もし川が いっぱしの思想家なら、こう考え始めることだろう、「下へ流れ落ちている、それはいけない。
私の住み処は 山なのだ。
川も初めは ヒマラヤの頂上の雪、そこが私の住み処だ。
なのに私は 落ちている。
それは 悪いことだ。
天の高みから氷河を下り、大地の方へ向かっている」。
川に 考えることができるとすれば、川は 狂ってしまうだろう。
下へ、地獄へと流れ落ちているのだから。
だが、とても幸いなことに川は考えない。
川は 受け入れる。
川を頂上に造る、それが神の意志だった。
深みを求めて流れる、今度は それが神の意志だ。

本当に 高みを知りたかったら、深みも知らなければならない。
それを知らなければ、高みは知り得ない。
深みは 高みの 一方の極。
山の頂きが 高くなるほど、谷は深くなる。

木を知りたければ、根の方も 知らなければならない。
木は上へ、根は下へ伸びる。
上昇と下降、その動きの中で 木は成り立っている。
その力の拮抗が木に 命を与えている。

どこへ行くかも知らずに、信頼して川は流れる。
川はどこへも行ったことがない、道路地図もなければ案内人もいない。
だが、川は信頼し続ける。
起こるべくして起こるのであれば、それは良いことであるに違いない、 と。
川は 歌い踊り続ける。
そして ある日、どの川も ついには究極のものに辿り着き、海で 姿を消す ーー 西へ流れようが 東へ流れようが、南だろうが北だろうが 違いはない。
川は海で 究極の深みに達する。

今や、旅は完結した。
川は ヒマラヤの高みと 海の深みを知った。
今や その体験は 全面的なものになり、円が完結した。
川は今、涅槃(ニルヴァーナ)の中に、解脱(モクシャ)の中に 消え入ることができる。

これが 解放だ。

ハシディズムの人は、川のように生きる。
ハシディズムの人は 信頼する。
技法に捕われ過ぎる人は 信頼しない人、疑い深い人だ。
そういう人は、生を 信頼できず自分の 技法をあてにする。



とてもすばらしい話を聞いた。
ボーディが送ってくれたものだ。

ある ゴリラの収集家が、もっとゴリラを集めたくなって アフリカに行った。
着いて間もなく、白人の優秀なハンターがいる小屋を訪れた。

「一頭につき、幾ら払えばいいんだね ?」と 収集家が尋ねた。
「そうだな、俺に 五百ドル、あそこでライフルを持っている小さなピグミーに五百ドル、それから 俺の犬に五百ドルだ」。

収集家は、なぜ犬にも 五百ドルなのか理解できなかった。
しかし、実際的な男だったので 千五百ドルは安いと考え、それが どう分配されようと気にしなかった。

猟に出かけると、優秀なハンターはゴリラが 一匹、木に登っているのを見つけた。
そして、木によじ登り ゴリラの頭を ひっぱたいた。

ゴリラが木から落ちると、犬がゴリラに 駆け寄ってその睾丸に 噛み付いた。
ゴリラは動けなくなった。
それから ハンターが木から降り、檻を持ってきてゴリラを中に 押し込んだ。

収集家は仰天しハンターに言った、「実に お見事 ! 今までこんなのは 見たことがない !
あんたは確かに 五百ドルの仕事をした。
それから その犬もね。
いやぁ、何て言うか、その犬は 本当にすごい。
でも、あのライフルを持ったピグミーは 仕事をしていないようだが」

ハンターは言った、「ピグミーのことは心配しなくていい。 奴も ちゃんとやるんだから」

そのようにして、次から次へと ゴリラを捕まえていったのだが、最後に その一部始終を見ていたゴリラに 出会うことになった。
ハンターが木に登って まさにゴリラの頭を叩こうとしたとき、ゴリラが向きを変え、先手を打って ハンターを叩いた。

木から 落っこちながら ハンターは ピグミーに叫んだ、
「撃て、 犬を撃つんだ !」

さて、これが技術思考のマインドだ。
あらゆること、起こりうる すべての事態に備え、システムに抜け穴を作らない。

宗教的な人は、そういう計画的な生を送ることはできない。
不可能だ。
宗教的な人は、神の入り込む抜け穴を 開けておかなければならない。
実のところ、正しく理解するなら、宗教的な人とは 何も計画しない人のことだ。
どうやって計画するのだろう ?
私たちの どこに、そんな能力があるというのだろう ?
私たちは限られている、知性の 微かな明かりがあるとはいえ、あまりにもちっぽけだ。
それに全幅の信頼を置けば、生は極めて凡庸になる。
巨大なものが、凡庸な生に入り込むことはない。

ハシディズムは極めて 革命的な歩みだ ーー 大きな危険が伴なう。
危険は、私たちの唯一の安全装置、唯一の確かさ、唯一の能力と思えるマインドを 落とすことの中にある。
さらには、自己ではなく、ノーマインド ーー 神と呼ぼう ーー を信頼すること、存在を信頼することの中にある。

ハシディズムは、偉大な明け渡しだ。



(第二の質問(02)) 終わり・・・第三の質問へ 続く