saleemのブログ

「 先ず一歩 内なる旅に 友は無し 」Zen柳

第四章「自由への恐れ」(08)


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(08)

マホメッドは 全くの文盲だった。

カビールは、どうということのない人間だった。

が、彼らは あなた方より 成長している。

その場合の成長とは、何か 別のものだ。)

 

意識の 成長であり、物が 発達することではない。

あなたは 実存の代わりに 物を所有できる。

実存とは、別の次元の成長・・・垂直の成長だ。

物を 持つのは 水平の成長だ。

物が どんどん増え続け、あなたは 沢山のもの・・・

沢山の情報、膨大な知識、莫大なる富、

沢山の学位、沢山の名誉を 持つようになる。

だが、それは貯めたものだ。

それは 水平の成長だ。

上へと 押しやるものがない。あなたは 同じままだ。

が、実際は、あなたは 同じままでいられない。

 

もし成長しなければ、あなたは子供のように 振舞い始める。

あなたは 退歩している。

それが、人類が 今日 直面している最も大きな問題の一つだ。

 

科学は、物だけしか もたらさない。

科学は 月、惑星をもたらせる。

科学はあなた方に、全宇宙を もたらすことができる。

 

一方、宗教は あなた方に、ただ一つのことを もたらす。

それは 上へ向かう動き、垂直の成長、実存へと成長するための意識的な 方法論をもたらす。

 

あなたが 何を持っているかは、問題ではない。

それは、あなたの成長にとって全く 意味がない。

唯一 重要なことは、あなたが 何であるか、ということだ。

この 実存に向かう成長は、一つの責任だ。

なぜなら、それは自由だからだ。

その時、あなたは もはや『成長を促す進化する力』に 押しやられてはいない。

あなたは 自由の中にある。

生命の進化は、あなたを 急ぎ立ててはいない。

生命の進化は、動物を 急ぎ立てる。

生命の進化は、木を 急き立てる。

それは、人間を除く あらゆる存在を 急き立てている。

生命の進化は、強く押し続けているがゆえに、すべては 進化するかもしれない。

が、人間に関しては 事は終わっている。

今や あなたは意識的になった。

だから、あなたは 自分がしたいことを 何でもできる。

 

サルトル曰く「人間は自由の刑を宣告されている」・・・

自由の「刑を宣告されている」と ! 

 

自然全部が くつろいでいる。 そこには自由がないからだ。

自由は 大変な重荷だ。

それゆえ、我々は 自由を好まない。

どんなに我々が 自由について話していても、誰も自由を 好まない。

みんな 自由を恐がっている。

自由は 危険だ。

自然界においては、自由は 存在しない。

そこには 大変な静寂が ある。

 

あなたは 犬に対し、決して「おまえは不完全な犬だ」とは 言えない。

あらゆる犬が 完璧だ。

人間に対しては「あなたは完璧な人ではない」と 言える。

それは 意味深いことだ。

だが犬に対して「おまえは完璧な犬ではない」と言うのは、馬鹿げている。

あらゆる犬が 完璧だ。

犬には、在るべき 自由がないからだ。

犬は 生命の進化に 急き立てられている。

犬は 造られた存在だ。

犬は、自ら自分を造ったのではない。

 

バラは バラだ。

どんなに美しくても、バラは 自由ではない。

バラは ただの奴隷だ。

バラを見るがいい。

それは 美しい。

が、ただの 奴隷だ・・・バラに させられているのだ。

花を 咲かせたり、咲かないでいたりする自由はない。

そこに 問題は存在しない。 選択は ない。

花は 花を咲かせるためにある。

花には「私は嫌です」とは 言えない。

花は 何も言わないし、自由も ない。

それゆえ、自然はとても 静かなのだ。

それは 一種の奴隷だ。

間違いは あり得ないし、おかしくなることも あり得ない。

 

もしあなたが おかしくなれないなら、 もし、いつも正しいのなら、そして あなたの「正しい」が あなたの手の内に ないのなら、あなたは 外部の力によって、ただ そうさせられているに過ぎない。

 

自然は、深い拘束状態にある。

人間が誕生することで 初めて、自由が 入ってきた。

 

 

(08)終わり(09)へ 続く