ちょっとした話をしよう。
若いユダヤ人の二人が、二百人以上の親戚や 友人に囲まれ、ユダヤの伝統に則って 結婚しようとしていた。
ラビが祈りの言葉を捧げ、「この世の我が持ち物を、すべて汝に授けよう」と 言ったとき、部屋は 完全に静まりかえった。
最も良き男性が、花嫁に付き添う 女性の方を向き、「アーヴィンの自転車が もらえる !」と 言った。
さあ、和尚のタオルだ。
それが、我が持ち物のすべてだ。
だから、ローブについては けっして質問しないよう、あなたたちに 念を押しておきたい。
私は タオルを投げる。
タオルが落ちたところにいる人が、その名誉ある所有者だ。
しかし、手をあげたり 掴もうとしてはならない。
ん、あなたたちは瞑想の状態、完全に受動的でなくてはならない。
神も そのようにして降りてくるのだ !
取ろうとしたら、タオルの所有者にはなれない。
二、 三人の人が タオルは自分のものだ と言って、何か問題が起きたり口論になったら、ムラ・ナスルディンのところに行きなさい。
目に見えないし、きわめて捕らえがたい人間だから、ムラのところへ行くのは難しい。
だが、 彼が 一番だ。
もし 彼のところへ 行けなかったら、二番めの人物、スワミ・ヨーガ・チンマヤの ところへ行きなさい。
チンマヤが 口論を収め、誰が所有者か 決めてくれるだろう。
もし それでもだめだったら、タオルを 分け合えばいい。
覚えておきなさい、 掴んでは ならない。
掴もうとすれば チャンスを失う。 落ちてくるに任せなさい。
さあ、 和尚のタオルだ !
「死のアート」
1978 Osho International Foundation
2001年4月14日 初版
講話 −− 和尚
翻訳 −− スワミ・ボーディ・マニッシュ
発行 −− 株式会社 市民出版社