saleemのブログ

「 先ず一歩 内なる旅に 友は無し 」Zen柳

第八章 残るのは知るものだけ 第四の質問

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第四の質問

愛する和尚、

どうしたら、近くにいけますか。
何をすれば 良いのですか。



一つ、小話を あなたに。

「助けてください。
私には 女房と 十二人の子供がいるのですが、養いきれません。
そのうえ、女房のやつが 毎年 子供を産むのです。
何をすれ(do)ば 良いのですか」、 と 男がラビに 救いを求めた。
「する(do) ? ですって ーー」「まだ し足りないのですか」と ラビは叫んだ。


「あなたに近づくには、何をすれば良いですか」と あなたは尋ねる。
行為は用をなさない。
なぜなら、行為によって あなたはより一層の 行為者となり、行為者は自我を肥え太らせ、自我は あなたと私の障壁になるからだ。
「する」ではなく「しない」によって、あなたは 私に近づく。
意思の力ではなく、明け渡しによって 近づくことができる。

なにもできないことを 悟り、どうしようもなくなって くつろぐとき、そのときはじめて、不意に、私の近くに来ていることに 気づくだろう。
明け渡すとき、あなたは 私に近づく。

マインドは、「どうすれば良いのか」と 聞き続ける。
何かをすれば、その行為のせいで、自我から離れられなくなる。

小話を もう一つ。

ギンズバーグは 自分の家族に愛想がつき、家族を残して日本に行くことを告げた。

息子たちが「パパ、どうやって 日本に行くの ?」と 聞いた。

ギンズバーグは「心配しなくていい。 漕いで行くよ」と 言った。

彼らは船着き場まで歩いてついていき、父親が 見ていないときに、とても長いロープをボートに 結びつけた。
彼は 息子たち全員に別れを告げ、地平線に向かって漕いでいった。

翌朝、 息子たちは、一晩中ボートにほったらかしにした父親の 安否が気がかりになった。
霧が とても濃く、老人とボートは 見えなかった。
老人は、夜の間 ずっと漕ぎ続けていた。
突然、遠くの方で「エイブ・ギンズバーグ、大丈夫 ?」と叫ぶ声が 聞こえた。

彼は声のする方に向かって、「日本に、私の名前を知ってる人なんて いるのかい ? 」と 叫んだ。

さて、ギンズバーグは 一晩 漕ぎ続けただけで、日本に着いたと思っている。
けれども、ボートは 長いロープで繋がれている。
彼は どこにも行っていない。

何かをして 私に近づきたいのであれば、あなたは 短いにしろ 長いにしろ、ロープを持っているのだろう。
だが、 岸に繋がれたままでは 遠くには行けない。

何かをして、マスターに 近づける者は いない。
この世では 行為によって事をなし得るが、 神の世では 何ひとつ成し得ない。
何もしないでいる、途方もなく受容的、受動的でいる ーー それしかないのだ。
そのことは私に委ね、あなたは ひたすら、ここにいることを 楽しみなさい。
踊り、歌い、祝いなさい。
近づく どうのこうの、そんな馬鹿げたことは 忘れなさい。
忘れれば 近づくだろう。
踊り、歌い、楽しむ、そうやって、あなたは 私に近づくだろう。


その質問は プリヤからだ。
質問しているのは 今日だが、 三週間前、彼女には 毎日ダンスに行くよう ことづけておいた。
質問の手紙は 今日 届いた。
だが、私には 三週間前に届いていたのだ。
プリヤ自身に、彼女の意識に 質問が浮かんだのは今日かもしれない。
しかし三週間前、突然 私は、彼女の無意識に 私に近づきたい という強い欲求が起こっているのを感じた。
そこで私は、毎日 ダンスに行くよう ことづけておいた。
だからプリヤは ダンスをしている。
私の言うことを信じなさい、プリヤは 近づいて来ている。

踊り、笑い、喜びによって、あなたは私の近くに来る。
踊りの中で くつろぎ、行為者が 消えるからだ。
歌っているとき、あなたは いなくなる。
あなたが いなくなったときであれば、いつだって私は あなたの実存を射抜くことができる。
あなたが そこにいるときに 射抜くのは、常に難しい。
なぜなら、あなたは 閉じているからだ。




(第四の質問)終わり・・・(第五の質問)へ 続く