saleemのブログ

「 先ず一歩 内なる旅に 友は無し 」Zen柳

第3話 ーーー 知識は禍いなり(07)

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そしてもうひとつ三番目の状態がある
中身が消え失せたとき,客体が消え失せたとき
主体も 長くは 持ちこたえられない
それらは 共存するものだからだ
それらは お互いに生産し合っていた
主体が ひとりに なってしまったら,それはもうほんの少しの間
ただ過去の惰性から まとわりついていることができるだけだ
中身なしでは
意識は 長くはそこにいられない
それは必要なくなってしまう
なぜならば
意識というのは つねに何かに つ い て の 意識だからだ

あなたが “ 意識している ” と 言うときには
“ 何を ? ” と 聞くことができる

あなたは “ 私は何々を意識している ” と 言う
その客体は 必須だ
主体が存在するためには それは必要不可欠なものだ
ひとたび その客体が消え失せてしまったら
やがて主体も また消え失せる

最初に中身が去り
それから 意識が消える


そうして,“ サマーディ (三昧) ” と呼ばれる第三の状態が来る
中身なし,意識なし
ただし 覚えておきなさい
この 中身なし,意識なし は 無意識状態とは違う
それはひとつの超意識状態,超越意識状態なのだ
意識はいまや ただそれ自身を意識しているだけだ
意識は それ自身に向き合っている
円は 完結している
あなたは 我が家に帰り着いている

それが第三の状態,サマーディだ
そして,その状態こそ
仏陀が “ シュンニャータ ” という言葉で言っているものにほかならない


第一に 中身を落としてごらん
あなたは “ 半空 ” になる
次に 意識を落としてごらん
あなたは “ 全空 ” になる
そしてこの “ 全空 ” こそ
起こり得る最もビューティフルな,最大の天恵にほかならない


この〈無〉の中には,この〈空〉の中には
この無自己性の中には,このシュンニャータの中には
完璧な 安全と安定がある

あなたはこれを知ったらびっくりするだろう
完璧な安全と安定は あなたがいないときにあるのだ
一切の恐怖が消え失せる
というのも,基本的な恐怖とは 何だろう ?

基本的な恐怖は 死の恐怖だ
ほかの あらゆる恐怖は,その基本的な恐怖の反映にすぎない
ほかの あらゆる恐怖は,ひとつの恐怖に還元され得る
死の 恐怖 ーー

ある日 自分は 消え失せなくてはならない
ある日 自分は 死ななくてはならない という恐怖だ
自分は いる
そして,自分がいなくなってしまう日が 近づきつつある ーー
それは恐ろしい
それが 根本の恐怖だ


その恐怖を回避するために


(08)へ 続く