saleemのブログ

「 先ず一歩 内なる旅に 友は無し 」Zen柳

第3話 ーーー 知識は禍いなり(08)

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その恐怖を回避するために
われわれは,可能な限り 長く生きられるような方向に向かいはじめる
そして,われわれは 自分たちの生活を安全にしようとする
われわれは妥協しはじめる
どんどんと安心,安全を固めだす
その恐怖のためだ
われわれは 麻痺してしまう
なぜならば
安心になればなるほど,安全になればなるほど
それだけ あなたは 正気を失ってしまうだろうから ーー

生は 挑戦の中にある
生は 危機の中にある
生は 不安定を必要とする
それは 不安定という土壌の中で成長するものなのだ
いつであれ,あなたが 不安定であるとき
あなたは自分自身が より生き生きとして
より覚めているのを見出すだろう

裕福な人たちが 鈍くなるのはそのためだ
一種の 愚かしさが
そして,一種の昏睡状態が 彼らを取り巻く
彼らは あまりにも安全で,そこには何の挑戦もない
彼らは あまりにも安全で,知性的である必要がない

彼らはあまりにも安全だ
何のために 知性的である必要がある ?
知性というものは そこに挑戦があるときにこそ必要とされる
知性というものは挑戦によって必要とされるのだ


そして,死の恐怖から われわれは安全をめざす
銀行預金を,保険を,結婚を
安定した生活を,わが家をめざす
われわれは 国家の一員になる
われわれは 政党に属する
われわれは 宗教教団に加わる
われわれは ヒンドゥー教徒になり
クリスチャンになり,回教徒になる
これらは みな安全を見出す道にほかならない
これらはみな
どこかに 身の置き場所を見つける道にほかならない
国家
教会 ーー

この恐怖を種に
政治家たちや坊主たちは あなた方を搾取し続ける
もしあなたが 何もこわがっていなかったら
どんな政治家にも どんな坊主にも
あなた方を搾取することなどできはしない
彼らが搾取できるのは恐怖がある場合に限る
いろいろなものを供給することができるからだ
少なくとも,約束することはできる
いわく
「これが あなたの安全を保障するでしょう」
いわく
「これがあなたの 安全弁です
私が保障いたしましょう」ーー

しかし,肝心の 品 物 は 金輪際 配達されない ということだってある
それは また別な話だ
だが 約束だけは ちゃんとある
そして,その約束が 人々の搾取と抑圧を固定化する
その約束が 人々を 束縛の中に釘づけにする


ひとたび あなたが この内なる空を知ったなら
そのとき,そこには何の恐怖もない
なぜならば,死は もうすでに起こってしまっているからだ
その空の中で,それはすでに起こっている
その空の中で,あなたは消え失せている
どうしてあなたが それ以上こわがることなんかできる ?
何について ?
誰について ?
そして,誰が ? ーー
この空の中で,一切の恐怖は 消え失せる
なぜならば,死が もうすでに起こってしまっているからだ
もうそれ以上 どんな死の可能性もない
あなたは 一種の不死性を,無時間性を感ずる
永遠が到着している
もうあなたは 安全など求めはしない
そんな必要は何もないのだ


これが サンニャーシンの心境だ
この状態にいる人間なら 国家の一員である必要もなく
教会とか,その手の愚にもつかないものの一部になる必要もない

あなたが 無になってはじめて
あなたは 自分自身になれるのだ
それは逆説的に見える
さらに,あなたは妥協する必要もない
なぜならば
人が 妥協するのは 恐怖や欲からに決まっているからだ
あなたは反逆に 生きることができる
何も失うものなど ないのだから ーー

あなたはひとりの反逆者になれる
恐れるものなど何もない
誰も あなたを殺せやしない
あなたは もう自分で それをやってしまっているのだ
誰ひとり何ひとつ あなたから奪い去ることはできない
あなたは自分から
奪い去られ得るものの一切を 落としてしまっているのだ
いまや あなたは〈無〉の中にいる
あなたが 無 なのだ
それがゆえに
この〈無〉の中に 大いなる安心が
大いなる安全が
安定が 湧き上がってくるという逆説的な 現象が起こる
それは,そこには もう死というものの可能性がないからなのだ


そして,死とともに 時が消え失せる
死とともに
死によって 時によってつくり出される あらゆる問題が消え失せる
それら一切の消滅に引き続いて
残るものは 純粋な空(そら)だ
この純粋な空(そら)が サマーディであり,ニルバーナなのだ
仏陀は それについて語っているのだ


これらの経文は 仏陀の最大の弟子のひとり
シャーリプトラ ( 舎利弗,舎利子)に向かって語りかけられている

なぜシャーリプトラなのか ?



(09)へ 続く