saleemのブログ

「 先ず一歩 内なる旅に 友は無し 」Zen柳

第1話ーーー七段の梯子 (06)

第三番目は心理の寺院だ
アドラーはその心理の世界に住する

力への意志ーー
少なくとも何かではある
とてもエゴイスティックだ
が,少なくとも何かではある
フロイトよりもほんのちょっとは開いている
だが,問題は
ちょうどフロイトが何もかもセックスに還元するのと同じように
アドラーはすべてを劣等感に還元してしまうことだ
人々は劣等感を抱くがゆえに偉くなろうとする
悟りを開こうとする人間は,劣等感を持った人間であり
悟りを開こうとする人間は,権力トリップをしている人間だーー
これはまったくの間違いだ
なぜならば,われわれは仏陀やキリストやクリシュナのような完全に明け渡しきっていて,そのトリップを権力トリップだなどとはとうてい呼べない人たちを見てきているからだ
それに,仏陀が花咲くとき
彼の中に優越感などというものはない
これっぽっちもだ
彼は存在の全体に頭を垂れる
彼には “自分の方が神聖だ” というような観念は微塵もない
すべてが神聖だ
ほこりでさえ神々しい
いいや,彼は自分の方がまさっているなどとは思っていない
そして,彼は人より上に出ようなどと奮闘していたわけでもない
彼は劣等感などこれっぽっちも持っていなかった
彼は生まれながらの王様だったのだ
劣等感などというものの出る幕はなかった
彼は最初から頂上にいたのだ
劣等感など出る幕はなかった
彼は国一番の金持ちだった
国一番の権力者だった
それ以上達せられるべき権力はなかったし
それ以上達せられるべき富もなかった
彼はこの地上に生まれ出た最も美しい人間のひとりだった
愛人には最高の美女のひとりを得ていた
彼には一切が手にはいったのだ


ところが,アドラーは何かしら劣等感を探し求めようとする
彼には,人間が何かエゴ以外の目標を持つことができるなどというのは信じられないからだ
それは一歩進んでいる
フロイトよりはましだ
少しは高い
自我(エゴ)というのはセックスより幾分は高級だ
大きな開きはない
が,少しは高級だ


第四番目は精神霊性,アナハタ,心臓の中枢(センター)だ
ユング,アサギオリ そのほかの人々はその領域を洞察する
彼らは,パヴロフやフロイトアドラーよりは高く昇る
彼らはより大きな可能性を開く
彼らは非合理の世界,無意識の世界を受け容れる
彼らは自分たちを理性に閉じ込めはしない
その点,彼らは少しは理性的な人たちだ
彼らは非理性も受け容れる
非合理は否定されずに,受け容れられる
これが現代心理学の終点だ
第四段ーー
そして,第四段は梯子全体から見ればちょうど中間だ
こちら側に三段,あちら側に三段
現代心理学はまだ完全な科学とは言い難い
それは中間にぶら下がっている
それはとてもあぶなっかしい
何ひとつ確かではない
それは経験的というよりは仮説的だ
それはまだ実現の途上であがいている最中なのだ


第5番目は霊性
イスラム教,ヒンドゥー教キリスト教ーー
大組織宗教は五番目で引っかかったままだ
彼らは霊的なところより先へは行かない
あらゆる組織宗教,教会はそこで立ち往生してしまう


第六番目は霊性超越
ヨーガやその他の方法論ーー



(07)へ続く