「あなた自身が問題……」07
( 彼は それを 成就しなければならない…… )
これに似た事柄を 何度となく訊いている。
イエスが捕らわれる前の晩、次の日には 殺されようというその夜に、弟子たちは 問うた。
主よ、教えてください
神の御(み)国に おいて
あなたが神の玉座の 右に坐られるとき
私たちの 坐る位置はどうなるのですか ?
どこに どのような順序で坐るのですか ?
そして その十二人の弟子たちは……
私たちは どこに
どのような順序で坐るのでしょうか ?
イエスのまわりにいた人々が、このように馬鹿げた質問をするなんて !
しかし
これが人間の精神(こころ)の うごき方だ―――
彼らは こ の 世 のことは求めなかった。
この世では 彼らは乞食になっていた……が
彼らはあの世を 求めたのだ―――
彼らは本物の乞食ではない
彼らは まだ希望をいだいている
彼らは この世を賭けたが
それは 安っぽい取り引きというものだ。
私たちは どこに坐るのでしょう ?
あなたの隣には誰が坐るのですか ?
あの十二人の弟子たちのあいだには 競争があったにちがいない。
政治駆け引きが、野心があったにちがいない。
誰かが上にあがれば 誰かが下がる。
誰かが チーフになる……
弟子たちのあいだでは大きな葛藤が、裏の駆け引きが
暴力と攻撃とが底流をなしていたにちがいない。
イエスとともにあってさえ
人は希望をいだきはじめる―――
希望とは
あなた方の内部に 深く根を下ろしているものだ。
語られることは 何であれ
あなた方は それを希望に変えてしまう。
あなた方は 希望製造メカニズム
そしてこの
希望製造メカニズムこそ エゴにほかならない !
では どうしたらいい ?
実のところ、どうこうすることは 何もない。
ただあなた方には もっと明晰な眼が必要だ。
もっと知覚力のすぐれた眼が
もっと深く浸透していく眼が必要だ。
唯一 必要とされるのは
あなた自身を新鮮な眼で見ること
あなたの存在を
あなたが 今まで為してきたこと、希望してきたこと
それを見る 新鮮な眼だ……
そして あなた方に言っておく。
その新鮮な眼差しの内で
その無垢な眼の内で
エゴは ひとりでに自然に 落ちてゆく。
それは もっとも易しいこと
それでいて同時に もっともむつかしいことだ
憶えていなさい。
私は あなた方に 希望をいだかせてなどいない……
…… 07 おわり
