saleemのブログ

「 先ず一歩 内なる旅に 友は無し 」Zen柳

「存在の詩」OSHO (OEJ Books) 09

Pp423ー427

第七話「あのね それ両方もらうよ !」(09)

 

 

 ボーディダルマが 中国に行った。

世に生まれた最も希少な宝玉のひとりだ。

王様が 彼に会いにやってきて、そして 言った。

「ときどき私は とてもひどく 悩みます。 ときとして私の中には 大変な緊張と 苦悶があるのです」。

ボーディダルマは 王様をにらむと、「明日の朝 早く四時においでなさい。 そして あなたの苦悶と不安と 心配事を全部 連れて来るのです。 忘れてはいけません、ひとりで来るんじゃない。 そういうものを 全部引き連れて来るのです」と 答えたものだ。

王様は このボーディダルマを しげしげと見た。

彼は とても不気味な容貌の男だった。

彼は どんな人でも 死ぬほど怖がらせることができた。

 

 で、 王様は言った。

「何を おっしゃる ?  どういう意味ですか ?」。

ボーディダルマは 言った。

「もし あなたが そういうものを引き連れて来なかったら、どうして私に あなたを叩き直すことができます ?

全部持っていらっしゃい。 すべて叩き直して進ぜよう」

 

 王様は 行かない方がよかろうと思った。

朝の四時はまだ暗い。

それにこの男は 少し狂っているように見える。

手に 大きな棒を持って、彼は なぐることだってできる。

それに、 すべてを 叩   き   直   す というのは どういうことだろう ? 

王様は 一晩中眠れなかった。

ボーディダルマが つきまとって離れなかったからだ。

 

 朝になると、彼は 行った方がいいような気がした。

それでも何かは ありそうな予感がしたからだ。

そこで 彼は出かけて行った。

いやいやながら、 ためらいがちにーーー。

しかし、とにかく彼は たどり着いた。

するとボーディダルマは 間髪を入れずに尋ねた。

彼は寺院の前に 棒を持って坐っていて、暗がりの中、いよいよもって物騒に見える。

 

開口 一番、 彼は言った。

「ふむ、 おいでになったわけだ。 ほかの奴らはどこですか ?   あなたの話しておられた あれは ?」

王様が

「あなたは 謎めいたことをおっしゃる。 あれは 持って来られるような〈もの〉じゃありません。 ああいうものは 内側にあるのです」と 言うと、ボーディダルマ 曰く。

「いいでしょう。 内側でも外側でも も   の   は   も   の です。

坐って目を閉じ、そういうものを見つけようとしてごらんなさい。 それを ひっつかまえたら即座に私に 教えるのです。 この棒をごらんなさい。 私が そやつらを叩き直して進ぜましょう」。

 

 王様は 目を閉じた。

ほかには どうしようもなかった。

彼は ちょっとこわごわ 目を閉じた。

内側をあちこち見まわし、目を凝らしてみると、突然ーーー見れば見るほど そこには 何もないのに 気づいた。

なんの 不安もない。

なんの 苦悶もない。

なんの 心配もない。

彼は 深い瞑想に落ちていった。

何時間という時が過ぎた。

日が 昇りーーーそして 彼の顔には 計り知れない静寂があった。

 

 やがてボーディダルマが 口を開く。

「さあ、目を開けてごらんなさい。

もう そんなところで充分でしょう。

奴らは どこですか ?

ひっとらえることが できましたかな ?」

王様は 笑ってひれ伏すと、ボーディダルマの足を 押しいただいて言った。

「実に、あなたは 奴らを叩き直してくださった。

私は それを見つけることが できなかったのですから。

もう私は 何が問題であるか わかりました。

そんなものは 最初から ありはしなかった。

そういうものが あったのは、私が 内側に現存していなかったからです。

もう わかりました。

あなたは 奇跡を行った」。

 

 事の次第はこんなものだった。

これが 超越だ。

問題を 解決するのではなく、第一に 本当に問題があるのかどうかを 見ること。

あなたが 最初に問題を作り出しておいて、そうして解決を求めはじめる。

最初に 質問を作っておいて、それから世界中 歩き回って答えを求める。

これは 私の経験でもあるのだが、もしも質問を見つめたなら、その質問は消え失せていくものだ。

どんな解答の必要もありはしない。

もしあなたが質問を見つめたなら、その質問は 消え失せる。

そして、これが  超   越  だ。

それは 解決じゃない。

解決すべき問題なんて ありはしないのだからーーー。

あなたは 病気など持ってはいない。

 

 ちょっと内側を 見つめてごらん ! 

病気など あるまい。

そうしたら なんの解決がいる ? 

あらゆる人間は そのあるべき姿なのだ。

あらゆる人間は 生まれながらの 王者だ。

何ひとつ欠けてはいない。

あなたに  改   善   の 必要なんかない。

 

 あなたを 改善しようとする人たちは、あなたを破滅させる人だ。

彼らこそ 本当の災い人だ。

それも、ネズミを狙う猫のように 待ち構えているのが ごまんといるのだからたまらない。

近づいていくと 彼らは飛びかかって、待ってましたとばかりに あなたを改善しだす。

世の中には、あなたを改善しようとしている 人たちがあまりにも多すぎる。

自分を改善することなんて 誰にも許すことはない。

 

 あなたは すでに  最   終   句  なのだ。

あなたは アルファであるばかりではなく、同時に オメガでもある。

あなたは 完全だ、完璧だ。

たとえ もしあなたが 不完全さを感じるとしても、タントラは その不完全さこそ 完全なのだ と言う。

それを 思い悩む必要はない。

あなた方の 不完全さもまた完全だ というのは、とても奇妙に聞こえるだろう。

しかし、そこには 何ひとつとして欠けてはいない。

実際のところ、あなたが 不完全に見えるのは 不完全だからではなく、成   長   し   つ   つ   あ   る   完   全  だ からだ。

 

第七話「あのね それ両方もらうよ !」

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