saleemのブログ

「 先ず一歩 内なる旅に 友は無し 」Zen柳

「意識の光」二番目の質問 (05)

二番目の質問 (05)

( 毒が 作用するには、あなたのマインドが必要だ。

もしマインドが なければ、毒が その効果を発揮することも極めて難しい )

 

ミーラは 逃げることができた。

ソクラテスは 逃げられなかった。

彼は 論理的な人間だった。

彼は、その毒は 人を殺すと知っていた。

ミーラは 論理的ではない −−− まったく 非論理的だ。

 

あなた方に ソクラテスの臨終の場面のことを話そう。

彼が 飲むことになっている毒は、部屋の外で作られていた。

そのとき、 彼は ベッドに横たわっていた。

彼の弟子たちがそこにいた。

彼は弟子の一人に こう言った、「さあ、もう時間だ。 六時には 私が飲むことになっている毒が 与えられるはずだが」と。

彼は とても数学的な男だった。

そこで彼は こう言った、「彼らは まだ準備していないんではないかね。  行って、どうして遅れているのか尋ねてきておくれ。

もう時間だ。私の方は 用意できているから」

 

そして毒が用意された。 彼は それを飲んだ。

 

彼は こう言った、「足の感覚が なくなってきた、どうやら毒が 利き始めたらしい。 さあ、毒が上がってきた」と。

彼は 喋り続けた。

彼は 鋭い知性の持ち主だった。

死に際しても、彼は実験していた。

彼は 科学的な思想家だった。

 

彼はこう言った、「さあ、 毒が上がってきた。 もう身体の半分は 死んでいる」

彼は 稀なる人間だ、普通ではない。

 

弟子たちが 泣いていると、彼は「やめなさい !  あとで泣けるではないか。

この死という 現象を、毒が進行して行くのを見なさい。

もうじき心臓に 毒がまわってくると思う。

心臓に毒がまわった後も マインドが働くか 疑問だ。

そのとき、 心臓が主要な中枢なのか、マインドが主要な中枢なのか、見極められるだろう」。

 

彼は 非常に鋭いマインドの持ち主だ。

そして彼は 観察し、喋り続けた。

心臓にまで 毒がまわり始めたとき、彼は こう言った。

「心臓が弱って、駄目になってきたようだ。

感覚は あるのだが、舌が 麻痺して痺れてきたから、じきに何も喋れなくなるだろう。

友よ、 経験することはできても、もうあなた方に話せないことがある。

舌の感覚が なくなっているから話せない」

最後の瞬間まで、彼の 目は何かを言い、喋っていた。

最後の瞬間、 誰かが彼に こう聞いた。

ソクラテスさん、死ぬことが恐くないですか ?」と。

彼は「私は永遠なる存在だから、恐くないよ」とは 言わなかった −−− ノーだ ! 

彼は 神のことなど 何一つ知らなかった。

彼のマインドは、神を 信じられない。

 

彼は こう言った、「二つの理由で、私は 死を 恐れない」

これが 論理的なマインドだ。

彼はこう言った、「私が死を恐れないのには、二つの理由がある。 一つは、ソクラテスという人間が 完全に死んでしまうなら、死を 恐れる者は そこにいない ことになる。

あるいは、ソクラテスという人間が まったく死なず、その魂が 生きているのなら、どうして恐れることがあろうか ?

これらが 私が死を恐れない 二つの理由だ。

どちらにしても、実際私は 死んでいく。

無神論者たち、物質主義者たちは、魂は存在しない と言う。 彼らは 正しいかもしれない。 もし彼らが 正しいとすれば、なぜ死を 恐れる ?

私 というものは 完全に死んでしまった。

そうしたら、死を 恐れる者は もう存在しない。

ソクラテスという人間が もう存在しないのなら、どうして恐れることが あろう ? 」と。

「あるいは、宗教家の言うことが 正しいかもしれない」と −−− それは「あるいは」だ。

これが論理だ −−−「彼らの言うことが 正しいかもしれない !」と。

 

「そうしたら、肉体だけが 死ぬのであって、ソクラテスは 生きているということだ。

だとしたら、どうして恐れる必要がある ?

もし肉体だけが死ぬのであって、私 というものは存在する とすれば、どうして 恐れることで 時間を無駄にしなきゃならんのだね ?

だから、私を死なせてくれんかね、そして、死を 見させてくれたまえ」と。

 

だが、彼は これから 起ころうとしていることを 体験してはいない。

彼は 完璧に 論理的なマインドを 持っていた。

 

 

(05)終わり(06)ヘ 続く