(19/終回)
( 千マイルの旅も、一度に一歩 踏み出すだけで 完結される。
誰も 一度に 二歩進む 必要はない。
誰も そんなことは要求されていない )
もし あなたが最初の一歩を踏み出したのなら
一歩 踏み出したのだ。 その一歩だけが 必要だ。
そして 一歩、 また 一歩と、 どんどん進んでいけばいい。
そうすれば、千マイルの道程も 完結できる。
我々は みな、最初の一歩のことを ただ考え
思案しているだけだ。
ある人は ただ思案しているだけで、ある人は 自分たちは もう最初の一歩を踏み出した と 思っている。
ある人が 二、三日前、私に 会いに来た。
その人は こう言った、「私は宗教的にだいぶ高い境地にあります。 だから、私に対しては A、B、C から 始めないでいただきたい」と。
こういうのは、いかれたタイプの人間だ。
そこで私は こう聞いた。
「それでは始めに、あなたが どのくらい宗教的に高い境地にあるか、何をあなたが得ているのかを 話してください」
するとその男は こう言った。
「私はクリシュナムルティのヴィジョンを見ます。
時には、そのヴィジョンの中で 彼とダンスを踊ります。
とても美しい場所 −−− 湖、丘などのヴィジョンを見るのです」
彼が言っていることは何であれ、ただの 夢にすぎない。
そこで私は こう言った。
「もしそれが あなたの言う『宗教的に非常に高い境地にある』ということなら、先へ進むことさえ 難しいですね。
あなたは単に 夢を見ているにすぎないのですから。
まだ 最初の一歩さえ、踏み出していないのですよ」。
最初の 一歩が 最も難しい。
自分が 無意識な存在である と 認識することは 最も難しい。
だが、その事実を あなたの意識に深く貫かせなさい。
それが どんなに痛みに満ちたことであっても
その認識を迎える −−− そうして初めて、何かが起こる。
もしあなたが それを認識すれば 謙虚になる。
もしあなたが それを認識すれば 素直になる。
もしあなたが それを認識すれば、子供のようになる −−−
そうしたら、 多くの可能性が、多くのことが 開く。
次に 第二歩だ。
意識的になること。
内なるマインドの中で 起こることが何であれ
気づいていること。
行動を 起こすのではない !
行動を 焦っては いけない。
マインドの内側で 起こっていること
その事実と ともに留まる −−−
油断のない状態で いること。
そして、その注意深さが
いかに 奇跡的に働くかを 見なさい。
無意識を 見守っている。
そうすれば、 突然 変化が起こる。
内側を 観察する時、内なる意識を観察する時、 質、 マインドの質 そのものが 変わる。
マインドの質そのものが 変わってしまう !
種が はじけて二つになり、草が 生えてくる。
もちろん、それは デリケートで とても繊細だ。
そして 人は 幾日も幾日も、何年も何年も、
時には 何生も 何生も、絶え間なく守り続けねばならない。
だが 一度その過程が始まれば、種は はじけて草となり
やがて 一輪の花になる −−− そして ある日、花が咲く。
その花が 宗教の 関心事だ。
人間を 一輪の花に すること、それが 宗教の 関心事の すべてだ。
第17章「意識の完全なる開花に向かって」
(19)終わり・・・
第18章 質疑応答「意識の光」(01)へ 続く