二番目の質問 (10)
( 疑う心が きっとその間に 湧いてくる −−− 自分は 気違いになってしまったのではないか とか、師が 自分のことを完全に忘れてしまっているのではないか とか。
おまけに、師は ほかの誰にも「待ちなさい !」とは 言っていなかった )
十二年の間に、何千もの人々が やってきて、何か 師に質問し、それらの質問には 答えが与えられていた。
そういうことが、来る日も来る日も ずっと 絶え間なく 続いてきた。
男は 待った。
それは 全面的な 信頼だった。
そして ある日、 師は こう言った。
「 もう聞く必要は なかろう 」と。
すると ダン・ナンは「聞くことなど もうありません。
この十二年間、あなたは何という奇跡を 私になさったことでしょう !
私を 見ることさえ しなかったのに。
何という奇跡か !
ヒントさえ 与えてくださらなかったのに !」と 言った。
明け渡し とは 全面的な信頼だ。
もし あなたが 全面的に信頼し、明け渡すことができれば、 何もする必要は ない。
もし そうできなければ、 唯一 残された道は 意志の道だ。
しかし、混乱してはいけない。
私は 余りにも多くの人々が混乱して 堂々巡りしているのを知っている。
彼らは ちょうど明け渡しの道において 起こるようなことが、何か自分に起こることを 期待している。
だが、彼らには 明け渡す用意が ない 。
彼らは 意志の人のように振る舞いたい と 思いながら
明け渡しの道において 起こるようなことが 起こって欲しい と思っている。
つい昨日、こんな手紙を 受け取った。
そういった手紙を 度々受け取っている。
手紙の主は「私は あなたから多くのことを学びたいのですが、あなたを 師として受け入れることはできません。 私は あなたの元に行き、ともに暮らしたいのです。 でもあなたの弟子になることはできません」と言っている。
彼は 何を言っているのだろう ?
彼は ちょうど明け渡しの道に従っている者が得るように、何かを得ようとしている。
だが、彼は 自分の意志に関しては 触れられずにいたい と 願っている。
そんなことは 不可能だ !
人は 選択しなければならない −−− そして、あらゆることは ただの方便だ。
(10)終わり(11)へ 続く