saleemのブログ

「 先ず一歩 内なる旅に 友は無し 」Zen柳

第13章「在ることを通して越えていく」(11)


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(11)

( 彼は よくこう言っていた。

「その後、 何が起こるかブッダでさえ 知らない。 というのも、知るブッダが そこに いないからだ。“これ” を破壊しなさい。

“それ” のことは 聞かないように」)

 

ブッダが 新しい場所にやって来た。

彼の比丘たちは、次のことを 村中に 知らせるために 出かけていった。

ブッダが お答えにならない 十一の質問がある。

だから、 どうかその質問は しないでください」と。

その最初は

「 “それ” について 聞かないこと、“これ” のことを聞くこと。

というのも、 “これ” は 答えられる。

“これ” のことを聞けば、ブッダは お答えくださるだろう。が、“それ” のことを聞いてはいけない」というもの だった。

 

あるスーフィーの神秘家、バヤジットのことを 思い出した。

彼は ある日、“それ” に ついては

何も 言うことはできない、と 言っていた。

ちょうど その話を聞いていた 彼の師(マスター)、彼のグルが 部屋から 出ていった。

 

彼の師は 文盲で、大変 老いていた −−− 

 

バヤジットは 深い学識のある男だった。

だから 座っていた多くの弟子たちは 思った。

その老人が 部屋から出ていったのは、余りに深い内容の話のために、彼が理解できなかった からだ、 と。

 

でも、 バヤジットは 師が出ていった まさにその瞬間、話を止め、 師のあとを追い、彼に聞いた。

「何か 間違ったことを したのでしょうか ?

私が 何か間違ったことを 言ったのでしょうか ? 」

すると 師曰く

「そうだ !   “それ” については何も言えない  と 言うことさえ、何かを言うことだ。

お前は 何か を 言った −−− 私は それに我慢がならなかった」

 

チベットの神秘家、マルパに ついての話が ある。

誰かが 彼に、質問をしに やって来た。

「 “それ” について 何か 私に教えてください。 でも 私は 聞いています。

“それ” については 何も言えない。 言葉は 使えない。 言葉は 役に立たない −−− 

それなら、言葉を 使わないやり方で “それ” に ついて 何か教えてください」

 

すると マルパは 言った。

「それでは 教えよう −−− でも、 言葉を使わずに 聞きなさい。

言葉を使わないで “それ” について 何か聞きなさい。

そうすれば、 答えよう」

 

そこで、質問者は 言った。

「どうして 言葉を使わないで 聞けるでしょう ? 」

 

すると マルパは

「それは 私の 問題ではなく、あなたの 問題だ。

帰って その答えを 見つけてきなさい !

それは あなたの問題であり、私の ではない。

私の問題は、私が答えた時から 始まる。

だから、まず その答えを 見つけ出しなさい」と 言った。

それは 真剣だった。

それは 冗談ではなかった。

その質問をしに やって来た人は、真剣だった。

彼は 帰って 考え、そして 答えを見い出そうと やってみた。

あらゆる方法で、彼は 瞑想した。

「どうやって 言葉なしで 質問 できるのか ?

実際、マルパは正しい !

もし 言葉を使わないで答えろ と言うのなら、 言葉を 使わずに 質問しなければならない」。

 

そこで彼は 瞑想し、思いを凝らし

そのことに 思いを 巡らした。

 

 

(11)終わり(12)へ 続く