saleemのブログ

「 先ず一歩 内なる旅に 友は無し 」Zen柳

第5話 ーーー 〈無〉の香り (15)

…( 二番目の扉は 自己同化(self-identity)だ )

子供は 自分の名前を覚え
鏡に映っている姿は きのう見たのと 同一の人物だ ということを了解し
自分とか自己という感覚が
変転する経験の諸相の中にあって
がんとして動かないもので あることを信じ込む

子供は あらゆるものが変化する ということを知ってゆく

あるとき彼は 空腹であり
あるときは 空腹じゃない

あるとき彼は 眠いし
あるときは バッチリと目が覚めている
そして,あるとき彼は 腹を立てているし
あるときは 愛にあふれている
物事は 変わり続けてゆく
ある日,それは素敵な 一日であり
また別な日,それは暗い 陰気な 一日だ

だが彼が 鏡の前に 立つと・・・
赤ん坊が 鏡の前に立っているのを 見たこと
観察したことが あるだろうか ?

彼は 鏡の内側の子供を つかまえようとする
そ の 子 が “外側のあそこ” に いると思うからだ
もしそれが つかまえられないとなると
今度は ぐるりとまわって鏡の裏側を のぞいて見る
もしかすると あの子は そこに隠れているのかな ? ーーー

だんだんと彼は そこに映っているのは 自分だということを 知りはじめる
そうするうちに,彼は 一種の継続性を感じはじめる
きのうも それは 同じ顔だった
子供たちが はじめて鏡を見るとき
彼らはそれに 夢中になるものだ
彼らは そこから離れようとしない
何度でも何度でも洗面所に
“ あの子たちは誰なのか ” を 見に行く


あらゆるものが 変化し続ける
その中で ひとつ 不変に見えるものがある
自己イメージだ
自我(エゴ)が もうひとつ別な扉から 忍び込んでくる
自己イメージ ーーー


三番目の扉は 自尊心だ



(15)終わり・・・(16)へ 続く