saleemのブログ

「 先ず一歩 内なる旅に 友は無し 」Zen柳

第5話 ーーー 〈無〉の香り (07)

…( 我々の 奴隷状態は 多元的だ
政治的,精神的,宗教的ーーー
あらゆる意味で 我々は奴隷だ
そして,その根本原因が 恐怖なのだ )


あなたは神が 存在するかどうかなど知りやしない
それでも あなたは祈るのだろうか ?

これはとても 非知性的なことだ
馬鹿げている
誰に あなたは 祈っているのかね ?
あなたは神が いるかどうかも知らない
あなたは どんな〈信 trust〉も 持ってはいない
というのも
どうしてあなたに 何かの信を 持つことなんかできる ?
あなたは まだそれを 知らないのだ
そこで,ただの 恐怖から
あなたは 神という観念に しがみつき続ける


それを見たことが あるだろうか ?
そこに 大きな恐怖があるとき
あなたは いつになく神を想う
誰かが 死にかかっていると
あなたは 思い出す


ある J,クリシュナムルティの信奉者を知っている
彼は とても名高い学者だ
国中に 知れ渡っている
そして,少なくとも 40年間
彼は クリシュナムルティの信奉者だった
だから,彼は 神など信じない
彼は 瞑想など信じない
彼は 祈りなど信じない
すると ある日,たまたま彼が 病気になった
心臓発作に 襲われたのだ
偶然,私は その同じ町にいた
彼の息子が 私に電話してくると
「父が大変な危篤状態にいます
もし あなたが いらしてくださったら
彼にとって 大きな慰めとなるでしょう
最後の瞬間が近づいています」と こう言った


そこで,私は駆けつけた
私が 部屋に はいって行くと
彼は 目を閉じて ベッドに横たわり
「ラーム,ラーム,ラーム」と 唱えている
私は わが目を疑った
40年間
彼は 神などいない,自分は信じない と 言い続けてきたのだ
それが,この老人は どうしたというのだろう ?

私は 彼を叩き起こすと こう尋ねた
「あなたは いったい何を やっているのですか ? 」

彼は言う
「私の邪魔を しないでください
どうか やりたいようにやらせてください」

そこで,私は こう言ってみた
「これじゃまったく クリシュナムルティに 反するじゃありませんか」

彼いわく
クリシュナムルティなんか知りませんよ !
人が死にかかっているというのに クリシュナムルティの話なんか しないでください ! 」

「でも,あなたの 40年は どうなるんですか ?
水の泡ですか ?
それに,あなたは 一度だって ジャバ(詠唱)が 役に立つとか
祈りが 役に立つなどと信じたことはないでしょう ? 」

彼は こう言った
「そう,その通りです
私は 一度も そんなことを信じたことはありません
だが,いま私は 死と直面しているのです
私の中には 大変な恐怖があります
たぶん・・・
誰がわかります ?
神は やっぱりいるかもしれない
そして,何分かのうちに
私は 神と遭遇しようとしているのですよ
もし神が いないとしたら
そのときには 何の問題もありません
私が『ラーマ,ラーマ』と くり返したところで
何もなくなるわけじゃありません
もし彼が いるとしたら
何かが 得られることになります
少なくとも 私は彼に
『最後の瞬間に,私は あなたを思い出しました』と 言うことができます」


あなたは それを見守ったことがあるだろうか ?
いつであれ あなたが悲劇の中にいるときには
あなたは いつにもまして神を 思い出しはじめる
危険な目に合うと,あなたは 神を思い出す

自分が ハッピーで,何から何までスムーズに いっているときには
あなたは 神のことなど 忘れてしまう
あなたの神は あなたの恐怖の投影以外の何ものでもない



(07)終わり・・・(08)ヘ 続く