saleemのブログ

「 先ず一歩 内なる旅に 友は無し 」Zen柳

第十章 東洋と西洋を超えて (第六の質問) (04)

小話を 一つ。

ある家族が、息子の バルミツバーの儀式 (十三歳になった少年を、正式に成人として認めるユダヤ教の儀式) を 執り行うことになっていた。

金に糸目をつけず、儀式を 今までにないユニークなものにしたいと思っていた。
儀式の担当者は 様々な提案をした。
ディズニーランドへ繰り出す、ホワイトハウスを 貸し切る、原子力潜水艦で儀式を行なう。

しかし その家族は、どれも皆、古臭いと言って 受け入れなかった。

アフリカへ サファリに出かけ、そこで儀式をやるというアイデアが閃いたとき、初めてその家族は 乗り気になった。

招待状が 二百人に配られ、二百枚の航空券が購入された。
そして、一行は アフリカに向かった。

アフリカに着いたとき、バルミツバーの一行は、二百頭の象、五十人のガイド、七人のラッパ手、食料を運ぶ 三百人の現地のサポーターに出迎えられた。
招待客のそれぞれが 象にまたがった。
儀式を受ける息子の父親は、隊列の 一番後ろに 並んだ。

ジャングルに入って 数マイルも進まぬうちに、突然、隊が 一斉に止まった。

後ろの象に乗っている 父親が叫んだ、「どうしたんだ ?」

その質問は、隊の先頭にいる ガイドに届くまで 二百回 繰り返された。

逆の道筋を辿って 答えが返ってきた。
「しばらく ここに いなければ ならない」

「なぜだ ?」と、落胆した父親が叫んだ。
その質問が 列の前方へ進むとき、二百人の招待客が「なぜだ ?」と 嘆きの声を上げた。

それから 答えが返ってきた。
「別の バルミツバーの 一行が 前にいるんだ !」



エゴトリップというのは、すべて そういうものだ。

あなたは 円の上を動く。
絶対、絶対に 先頭には行けない。

今度も バルミツバーの 一行が 前にいるだろう。
最も奥深い アフリカのジャングルでさえ、今まで誰もやらなかったことなど できやしない。
今までに ないものになど、唯一無二のものになど なれやしない。
だから、自我は 満足できない。
自我は 不完全なまま、完全を 要求し続ける。

私が伝えたいのは、真実を見る ということ、自我が、完全や 独自性の名のもとに 生み出している地獄を 見、それを 落とすということだけだ。
そのとき、途方もない 美 ーー 無我、無自己、深い虚空が 生まれる。
深い虚空から 創造性が生まれ、その空(くう)から至福が、サット・チット・アナンド、真理―実在―至福 が現れる。
すべては その絶対的な純粋性から 生まれる。
自我が ないとき、あなたは処女だ。
キリストは 処女から生まれた。
あなたの 空(くう)は処女なる母、母なるマリアだ。



(第六の質問)(04)終わり・・・(最後の、そして最も重要な質問)へ 続く