これが あなたに起こっていることだ
必死になって つかまえようとし
その実
つかまえるものと つかまえられるものの両方であるのは〈自分〉なのだ
その阿呆らしさを見てごらん
そして，まさに その見るということによって それ から自由になるのだ
なされるべきことなど何ひとつありはしない
何ひとつだよ，ことわっておく
というのは
あなたはすでに
あなたが そうなりたいと思っているそのものなのだから ーー
あなた方はブッダたちなのだ
けっしてそうでなかったためしはない
それを見ることだけで充分だ
そして，あなたが “私は見張っています” と 言うとき
それは またしても〈自分〉だ
見張ることによって，またもや〈自分〉がつくり出されてしまう
なぜならば
見張る ということは またしてもひとつの行いだからだ
そこには 努力が関わっている
あなたは 見張っている と言う
それならば，その 見張っているのは 誰か ?
リラックスしなさい
リラックスする中で
そこに見張られるものが 何もなく
誰ひとり見張りもいないとき
ひとつ違った性質の “ 観照(witnessing) ” が 湧き上がってくる
それは 見張りではない
それは ただの受身の覚醒だ
私が 受身だと言うのを覚えておきなさい
その中には 何ひとつ攻撃的なものがない
見張り というのはとても攻撃的なものだ
努力がいる
あなたは緊張していなければいけない
だが，そんな緊張は不必要だ
リラックスしてごらん
ただ そこにいるのだ
あなたが ただただ そこにいる
何をするでもなく坐っている ーー
と，その意識の中で
春が訪れ，草は ひとりでに生える
それがそっくり仏教のアプローチの全体だ
何であれ あなたが や る ことは や り 手(doer) をつくり出し
それを強めてしまう
見張ることもそう
考えることもそう
明け渡すこともそうだ
何であれ あなたが や る ことは 必ず罠をつくる
あなたの側で やる必要のあることなど何もない
ただ “いる(be)” のだ !
そして，物事の起こるのにまかす
やりくりしようとしないこと
操作しようとしないこと
そよ風を 通りすぎさせなさい
陽の光を やって来させなさい
生を 踊らせなさい
そして，死にも やって来させ
それが あなたの中へ そのダンスを踊るのにまかすことだ
これが私の サンニャースの意味だ
それは何か，あなたが や る ようなことじゃない
あなたは 一切の し わ ざ(doing) を落とし
そして，や る ということの 馬鹿らしさを見抜く
や る なんて あなたは何者か ?
あなたは この大海の中の ひとつの波にすぎないのだ
ある日，あなたはいても
また別なある日，あなたは 消え失せてしまうだろう
海は 続く
なんであなたが そんなに気をもまなくちゃいけない ?
あなたは やって来る
あなたは 消える
その合間の，この小さな幕合いに
あなたは 呆れるぐらい気をもみ，緊張し
重荷という重荷を全部 自分の肩にしょい込む
そして，あなたは
全然 何の理由もなしに，自分のハートに重石をする
あなたは まさにこの瞬間に自由なのだ !
(05)へ続く
