saleemのブログ

「 先ず一歩 内なる旅に 友は無し 」Zen柳

第9話 彼方からのメッセージ (09)

こんなことがあった
ある男が夢の中で
一匹のヘビが口からはいって彼の胃袋の中にいるというの考えに取り憑かれた
そして,彼はそのヘビの動くのを感じる
ん? そういうヘビを知っているだろう ?
誰でも知っている
そして彼はものすごく取り乱してしまった
そうして,彼は医者のところへ行くとレントゲンにかかる
ところが何も映らない
と,彼は言う
「ちゃんといるのになあ
X線でもわからないんですよ
そんなことは問題じゃありません
とにかく私は苦しんでいる
その私が苦しんでいるのは本物なんです」


それから
彼はひとりのスーフィマスターのところへ行ってみた
誰かがこう教えたのだ
「スーフィマスターのところへ行きなさい
こういうのを何とかできるのはマスターだけだ
医者なんかにたいしたことはできまい
彼らは本物の病気を治す
マスターたちは本物でない病気を治す
あなたはマスターのところへ行った方がいい」


そこで,彼は出かけて行った
するとマスターは
「確かに
私が何とかしてあげよう
明日の朝になったらそれは出てくるだろう」と言う
翌日の朝
そのマスターは仕掛けをした
彼はヘビを一匹見つけてくると
それをその男の女房に渡し
「彼が目を覚ましたら
このヘビがベッドから出て行くところを見つけ出すように仕掛けをしておきなさい」と言った


するとどうだろうーーー
その男は悲鳴をあげ
叫び立て
飛び上がった
そして彼は言う
「ここだ ! ここにいるぞ !
例のヘビだ !
くそやぶ医者どもめ
奴らはヘビなど何もいないと言っていたのに
ちゃんとここにいるじゃないか」

ところが,その日から問題は消え失せてしまった
これはひとつのマントラだった
その問題は本当に現実的なものではなかったのだ


あなた方の問題などというのは
すべてあなた方の創作だ
マントラとはあなた方の幻覚を取り去る策略にほかならない
そしてその幻覚が取り去られたとき
その後に残るものが〈真実〉だ
マントラは嘘のものだけを取る
それはあなたに本当のものを与えてくれはしない
それは嘘のものを取ることができるだけだ
だがそれで充分
一度嘘のものが取り去られたら
一度嘘のものが嘘として理解されたら
〈真実〉が湧き上がる
そして〈真実〉はあなたを開放してくれる
〈 真 実 〉 は 解 放 な の だ


仏陀は言う
“ 般若波羅密多を大いなる真言,大いなる知恵の真言,無上の真言,無比の真言ーーーsarva-duhkha prasamanahーーー 一切の苦しみを鎮めるものとして…… ”

仏陀
この短いマントラはそれほど効き目がある
それだけであなたの苦しみすべてに充分だという
ただこのマントラだけでいい
あなたをさらに遠くの岸辺へ連れて行くだろう,と


“ satyam amithyatvat ーーーそれは真実である。というのも, どうして間違いなど起こり得よう ? ”


仏陀
それはあなたに嘘を嘘として示すにすぎないだろうと言う
そして,あなたが〈真実〉を知ったとき
その上どうして間違いなど起こり得よう ?
そうしたら,何ひとつ間違いなどあり得ない


“ satyam amithyatvat ”

この “ amithyatvat ” という言葉は “ mithya ” という語源から来ている
“ mithya ” とは偽りという意味だ
“ amithya ” は偽りでないという意味になる
“ mithya ” という言葉は
英語の “ myth(神話) ” という言葉の中に存在している
神話とは嘘という意味なのだ
“ 神話(myth) ”は“ mythya ”と同じ語源から来ている
神話とは
そう見えるけれども本物ではないもののことだ


また別な英語の “ miss(逸する) ”,ミスするという言葉にも
同じ “mithya” という語源が存在している
それからまた
“misunderstanding(誤解)” の “mis” も “mithya” から来ている
あるいはまた
「彼はミスをした」と言うその “miss” もまた “mithya” から来ている


〈真実〉とはわれわれがミスし続けているそのものなのだ
われわれがのがしつづけているのは
われわれが偽りのものにしがみつき続けるからだ
われわれが真実を逸するのは嘘にしがみつくからなのだ
もしわれわれが嘘を落としたならば
そこにはミスは全然ない
そしてそれが “sin” という言葉の語源的な意味でもある
罪とは “逸する” こと
“的を逸する” ことなのだ
いつであれ嘘のものにしがみつくとき
あなたはひとつの罪を犯す
なぜならば,それにしがみつくことで
あなたは真実を逸するからだ


あなたは神という観念にしがみつく
そして,それは偽りだ
あらゆる観念というものはすべて偽りなのだ
あなたがある特定の観念にしがみつくと
それがあなたの障壁(バリアー)になる
仏陀
このマントラがあなた方の障壁(バリアー)のすべてを取ってくれるだろう
それはあなたに〈無〉だけを与えてくれるだろうと言う
〈無〉の中で真実が湧き上がる
そこには何ひとつ妨害するものがないからだ
〈無〉とは
「それ以上何も妨害するものがない」ことを意味する
道を妨げていたあらゆる偽りの観念が落とされている
あなたはただ空っぽだ
あなたはただ受け容れ態勢にある
オープンだ
あなたはヌードで,裸で
空っぽで〈真実〉のところへやって来る
それがそこへやって来る唯一の来方(きかた)なのだ
そうしたとき
何ひとつ間違いようがない


“ prajna-paramitayam ukto mantrah ”
“般若波羅密多によって, この真実は次のように説かれた ”



(10)へ続く