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( だから、仏教の 僧侶の眠りは まったく あなた方の眠りとは違う。
彼の眠りには 普通とは違った質がある。
その眠りには 深みが、 ある種の 気づきがある )
アーナンダはブッダに こう言った。
「私は 何年も何年も あなたと ともにいて、あなたのことを観察してきました。
それは奇跡のようです。
あなたは まるで起きているように眠っていらっしゃいます。 そして一晩中、同じ姿勢で眠っていらっしゃいます」と。
ブッダの手は、眠りに入る時に置かれた場所から 動くことはなかった。
足も 同じ姿勢ままだった。
ブッダは 一晩中 同じ姿勢で眠っていた。
ひとつの動きも なかった !
幾晩も、幾晩も アーナンダは ブッダのそばに座り ブッダの眠りを見、不思議に思っていた。
「これは 一体、 どういう類の眠りだろう !」
ブッダは動かなかった。 まるで死体のようだった。
そして、彼は 眠りに入った時と 同じ姿勢で起きた。
それを見た アーナンダは、ブッダに尋ねた。
「あなたは何をしていらっしゃるのですか ?
起きていらっしゃったのですか、 それとも眠っていらっしゃったのですか ?
あなたは 一晩中、一度として お身体を動かさなかった ! 」
ブッダは こう言った。
「アーナンダ、お前にも いつかわかる日がくるだろう。
それは、お前が アナパナサティ・ヨーガを正しく実践していないことを 表している。 それだけのことだ。
さもなければ、 そういう疑問は 湧いてこないはずだ。
お前は、 アナパナサティ・ヨーガを実践していない −−−
もしお前が、日中、絶え間なく 自分の呼吸を意識していれば、夜 呼吸を 意識しないでいるのは 不可能だ。
もしマインドが 気づきに集中していれば、夢は お前の意識の中に 侵入して来れない。
夢がなければ、マインドはクリアーで澄んでいる。
お前の身体は 眠っている。が、 お前は眠っていない。
身体はリラックスしている。 そしてお前は、内に明かりがあることに 気づいているということだ、アーナンダ」
そして こう言った「私が眠っているのではない −−− 身体だけが眠っている。
私は覚めている !
そして、 それは眠っている間だけではない。
アーナンダ −−− 私が 死ぬとき、お前には わかるだろう。 私は覚めている。 ただ身体だけが死んでいく」
だから、呼吸への 気づきを実践しなさい。
そうすれば、その気づきは 眠りの中にまで 浸透できるだろう。
(11)終わり(12)ヘ 続く