…( そして，私は 宣言したい
自我(エゴ)というものは あなたの中にも 存在しはしない
この心理学者の友人にさえも 私は言おう
自我(エゴ)は 彼の中にも 存在しはしない
自我(エゴ)というものなど 存在しはしないのだ !
それは 存在しない ひとつの 観念にすぎない
ただの 観念なのだ )
それは このようなものだ
ふと 暗がりを見ると，そこに 一本のロープがあって
あなたは それを ヘビだと思った
そして，あなたは 一目散に駆け出す
息せき切って
しまいに あなたは 石につまずく
そして 足をくじいてしまった
それが，朝になってみれば
それは ただのロープでしかなかったことが わかる
しかし，それは 大変な作用をした
そこに ヘビなど いやしなかった
けれども，それは あなたの現実(リアリティー)に 影響を及ぼした
誤解というものは 理解と同じくらい本物(リアル)なものだ
それは 真実じゃない
が，それは 本物(リアル)だ
それが 現実(リアリティー)と 真実の違いなのだ
ロープの中に見えたヘビは 本物なのだ
なぜならば
その結果，そのなりゆきが 本物になっているからだ
もし あなたの心臓が弱かったら
ロープを ヘビと 見間違えるのは とても危険なことでもあり得る
あなたは あまり急いで走りすぎて
心臓発作を起こすことだって あり得る
それはあなたの 生全体に影響を及ぼしかねない
しかし，それは まったく馬鹿げて見える
それは ただのロープだったのだ
私が言っているのは
あるいは仏陀が 言っているのは
ちょっと明かりを持って 内側に はいって行ってごらん
ヘビが存在しているかどうか 一度よく見てごらん ということだ
仏陀は それが 彼の中に存在しないのを見出した
私も 私の中に それが存在しないのを見出した
そして，私が私の中に それが存在しないのを見出したその日
私は ぐるりと見渡して あらゆる人の目を のぞき込んでみた
すると，私は 一度として それに出くわさなかった
それは 根拠のない ひとつの観念にすぎない
それは ひとつの夢なのだ
しかし
もし あなたが あまりにもその夢で 一杯になりすぎていたら
あなたは それを私に 投影することさえできる
そして，私はそれについては どうすることもできない
もしあなたが 投影するのなら，投影するがいい
それはあたかも あなたが メガネを かけている
色のついたメガネを，緑色のメガネを かけているようなものだ
そうしたら 全世界が緑色に見える
そして，あなたは 私のところに来て こう言う
「バグワン，あなたは緑色の着物を 着ていますよ」ーーー
私に どうすることができる ?
私に言えるのは ただ
「ちょっとあなたの メガネをはずしてごらん」ということだけだ
それを，あなたは
「いままで誰も その人のメガネをはずせた人はいません
それは 一度も起こったためしがないのです」と言う
だとしたら それは難しい
だが，それは私にとっては 問題じゃない
それは あなたにとっては問題になってゆくだろう
私は あなたを気の毒に思う
というのも
もしあなたが こんな観念を持っているとしたら
あなたは 一生 苦しむだろうからだ
なぜならば，自我(エゴ)というものは 苦しみをつくり出すものだから
現実(リアリティー)と見なされた 非現実的な観念は
苦しみを 生み出さざるを得ない
苦しみとは 本当のところ何なのだろうか ?
苦しみとは あなたが何か 真実と 協調関係にない観念を 抱いているときに 出てくるものだ
そこに 苦しみがある
たとえば あなたが石を 食べ物だと思って
それを 食べるとしよう
そうしたら，あなたは 苦しむ
そうしたら，あなたは 大変な胃痛に のたうちまわるだろう
だが，もしそれが 本当の食べ物だとしたら
あなたは 苦しみは しない
そのときには あなたは満足する
苦しみというのは 現実(リアリティー)にそぐわない観念によって つくり出される
至福は 現実(リアリティー)に添った観念を持ったときに生まれる
至福とは あなたと真実との間の 結合の たまものなのだ
苦しみとは ひとつの 二律背反だ
あなたと真実との間の 分裂なのだ
真実と一緒になって 動いていないとき
あなたは 地獄に いる
真実と一緒に動いていれば，あなたは天国に いる
それだけのことだ
そして，それが理解されるべきすべてなのだ
(08)終わり・・・(09)へ 続く
