saleemのブログ

「 先ず一歩 内なる旅に 友は無し 」Zen柳

第5話 ーーー 〈無〉の香り (24)

…( 四諦というのは 仏教の 最も根本的な哲学だ
ところが この心経の 声明において
仏陀は それもまた 否定する ! )


彼は 言う
“ そこにはいかなる苦しみも,苦しみの原因も,苦しみの停止も,苦しみをなくす道もない ”


いままで 誰ひとりとして
これほどまでに革命的なことを 述べた人はいない
仏陀は 革命の 無上無比の頂きに達している
ほかには誰ひとり それを凌ぐものがない


さて,学者たちは
ずっと これが矛盾である ということに頭を悩ませてきた

仏陀は 苦しみがある と教え
そうしておいて,ある日
「そこには 何の原因もない」と 言う
彼は それが停止され得る ひとつの可能性
“ ニロダ (nirodha) ” がある と教え
そして,ある日
「そこには何の停止もない」と 言う
そして,彼は
ーーーそれも,彼の生んだ仏教のすべてが その言葉に依っているとも言えるのだが ーーー
そこには 八つの道
“ アスタンギク・マルガ (astangik marga 八正道) ” がある と言う
正見,正精進,正念,正定,等々・・・
あなたを究極の真実へと導く 八肢の道だ
それが なんと ある日
彼は「何の道もありはしない
このリアリティーは 道なきリアリティーなのだ」と 言う
この矛盾は どうしたことだろうか ?


最初の声明は
自分たちが いないということを知らない人たちに 向かって発せられている
最初の声明は,普通の人たち
自我(エゴ)で 一杯の人たちに 向かって なされているのだ

が,いまこの声明は
ある特別な空間にいる
ある特別な境地にいる シャーリプトラに 向かってなされている


“ それゆえに,シャーリプトラよ・・・”

いまこそ私は これを あなたに言うことができる
以前は 言いたくも言えなかった
あなたに その用意がなかった



(24)終わり・・・(25)へ 続く