saleemのブログ

「 先ず一歩 内なる旅に 友は無し 」Zen柳

第七章 「宝もの The treasure 」 (11)

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あなたは、必要なものを すべて携えている。
探求者の中に 入っていくだけでいい。
外を 探しては ならない。
探求者を 探求しなさい、探求者を 探求すべきものとしなさい。


こうしたことがあって、ラビのエイシクは 祈りの家を建てた。

それは とてつもない発見、とてつもない体験だった ーー「神は、私が いつも住んでいたところに 宝物を置いてくれていた。
私が貧しかったのは、神がそのように望んだからではなく、自分のせいだった。
神について言うならば、神は 私を 王として送ってくれた。
私は ずっと王だった 」。
このように理解し、エイシクは 宝物で 祈りの家、寺院を建てた。
上手に 宝物を使った。

内奥の宝物に達したときには、必ず 祈りが起こる。
それが この物語の意味だ。
彼は、エイシクのシュルという名の 祈りの家を建てた。

神の恵み、慈悲、愛を 理解したら、他にすることがあるだろうか。
感謝の大きな祈りが 実存の中に生まれる、あなたは 神の愛に圧倒され、打ち負かされる。
他に 何ができる ?
あなたは 頭(こうべ)をたれ、祈るしかない。

覚えておきなさい、 何かを願って 祈るなら、それは 祈りではない。
何かに対して、神に感謝する ときだけが 祈りだ。

祈りは 常に感謝だ。
何かを願うとすれば、祈りは いまだに欲望で汚れている。
それは まだ祈りではない。依然として 夢で毒されている。

自分の実存に 達し、頼まずとも すでに神によって 与えられているものを知ったとき、そのときにのみ 本当の祈りが生まれる。

何があなたに 与えられたのか、どんな無限の源泉を与えられたのか 理解したとき、祈りは生まれる。
あなたは神に、「ありがとうございます」と 言いたくなる。

そこには、純粋な 感謝の気持ち以外の 何ものもない。


単なる感謝になったとき、それが 祈りだ。
祈りに 願いを込めないこと。
「こうしてくれ、 ああしてくれ、 これを しないで、 あれを しないで 」などと、けっして言わないこと。
神に 注文しないこと。

それは あなたの 反宗教性、信頼の欠如を 表している。

神に 感謝しなさい。
あなたの生が、すでに 祝福であり 天恵なのだ。
一瞬一瞬が、そうした純粋な喜びなのだ。

私は そのことを知っている。
だが、 あなたは 知り損ねている。
祈りが生まれないのは そのためであって、そうでなければ、あなたは 祈りの家を建てるだろう。
生全体が 祈りの家となり、あなたは その寺院、神の社(やしろ)となるだろう。

あなたの実存から 神の歌が突然現れ、神が あなたの中に 花を咲かせ、その香りは 風にのって広がるだろう。

それが 起こらないのは、あなたが何かを 取り逃がしているからだ。
しかし、それは 神のせいではなく あなた自身のせいだ。
欲望を抱き、宝物は 他のどこかにある と考えるなら、未来へ動いて いくことになる。
欲するがために 未来が 必要となる。

未来は 欲望の 副産物だ。
欲望を 現在に描きだせるはずがあろうか。
現在は すでに ここにある、いかなる欲望も描けはしない。
現在は 欲望を許さない。
もし欲望を抱くなら、 現在は もうなくなっている。

欲望は 未来にしか、明日にしか 抱けない。

このことは、理解しておかねばならない。
欲望は 常に未来にある。
だが 未来は、けっして そこには ない。

未来とは 存在しないものであり、欲望とは 未来にしかないものだ。
また、 欲望は 過去から、 またしても 存在しないものから生まれる。
過去は 過ぎ去ってしまったし、未来は まだ やって来ていない。

欲望は 過去から 生まれる。
あなたが 欲するのは、かつて知っていたものに 違いないからだ。
まったく新しいものを 望むことなど、できるだろうか。
新しいものは 望み得ない。
繰り返しを 求めるしかない。

あなたには お金があった、あなたは さらに 求めるだろう ーー お金のことを 知っているからだ。
あなたには 権力があった、あなたは さらに求めるだろう ーー 権力のことを 知っているからだ。

未知のものは 望み得ない。
欲望は 既知のものの 繰り返しでしかない。
考えてみなさい。
あなたは それを 知っている。
しかし、満たされてはいない。
だから、再び それを求める。
満たされると 思うかね ? 望めるのは、せいぜい 量の 増加だ。
だが、 もし 一ルピーに 満足できないならば、一万ルピーに 満足できるだろうか。
一ルピーが 不満なら、一万ルピーは もっと不満な 一万ルピーであるだろう。
それは 単純な 論理だ。

一人の女性に 満足できないならば、一万人の女性にも 満足しないだろう。
一人の女性が 大変な地獄を生み出すとしたら、 一万人の女性は・・・考えてごらん !
単純な算術だから 解けるだろう。


望みは 過去から生まれる以外になく、かつ 未来に託す以外にない。
だが、 両者とも 実在しない。
実在するのは 現在だ。
この瞬間こそ、 唯一 存在するもの。
この瞬間に対して 望みは抱けない。
この瞬間にいて、 それを 楽しむことしか できない。



(11)終わり・・・(12)へ 続く