saleemのブログ

「 先ず一歩 内なる旅に 友は無し 」Zen柳

第七章 「宝もの The treasure 」 (03)

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アレクサンダー大王が 世界の征服者になったときの話だが、彼は部屋のドアを閉めて泣きだしたと言われている。
本当にあったことかどうかはわからない。
しかし、アレクサンダーが 少しでも知性ある人間だったら、泣き出したに違いない。

将軍たちは非常に当惑した。
何が起こったのだろう ?
将軍たちは、アレクサンダーが泣いているところなど 見たことがなかった。
アレクサンダーは そういう人間ではない。
偉大な戦士だ。
彼が 大きな困難に陥り、まさに生命の危機、死に瀕しているところを見たことはあった。
だが、 目から 一粒の涙さえ流れはしなかった。
やけっぱちに、絶望的になっているのを 見たことはなかった。
さて、何が起こったのだろう ?
成功を収め、世界の征服者となった今このときに ?

将軍たちはドアを叩いて中に入ると、「どうしたのですか。 なぜ子供のように泣いているのですか」と 尋ねた。

アレクサンダーは言った、「今 こうして成功してみると、それは失敗だったことがわかる。
今私は、この馬鹿げた世界征服を始めたときと まったく同じ場所にいる。
今や、そのことが はっきりしてきた。
もう征服すべき世界がないからだ。
そうでなければ、旅を続け 別の世界の征服に着手できただろう。
もう征服すべき世界はない、もう何もすることがない。
それで 突然、自分自身に引き戻されたのだ」。


結局のところ、成功者は必ず 自分自身に引き戻される。
そして、全人生を無駄にしたがゆえに、地獄の苦しみにさいなまれる。
探しに 探し、持っているもの すべてを賭け、成功を収めた。
だが、 心は空っぽで 魂も虚(うつ)ろ、香りも喜びもない。

だから、まず 探しているものを 正確に知ること。
私は それを強調する。
あなたの目を、探しているものに 集中させればさせるほど、それが消え始めるからだ。
目が 完全に固定されると、突然 探すものがなくなる。
すぐに目は 自分自身へと向かい出す。
探すべき対象が ないとき、あらゆる対象が消えたとき、虚空がある。
その虚空の中で 内側への転換が起こる。
突然、あなたは 自分を 見始める。
もはや 探し求めるものはない。
そして、この探求者は 誰なのか、それを知ろうという 新たな欲求が生まれる。

探し求めるものがあれば、あなたは 世俗的な人間だ。

それがなく
「この 探求者は誰か」という問いが 重要になれば、あなたは 宗教的な人間だ。

これが私の 世俗的、宗教的に対する定義の仕方だ。


別の生、彼岸、天国、楽園、解脱に求めるとしても同じこと、いまだ 何かを探し求めているなら、あなたは依然として 世俗的な人間だ。
すべての探求がやみ、知るべきことは ただひとつ、「私の中にいる この探求者は 誰なのか。
この探求を欲するエネルギーは 何なのか、私は誰か」ということだ と不意に気づいたら、変容が起こる。
価値観のすべてが急転する。
あなたは 内側へ向かい出す。



(03)終わり・・・(04)へ 続く