saleemのブログ

「 先ず一歩 内なる旅に 友は無し 」Zen柳

「落ちるのは熟れた果実だけ……」03

「03」

(  ディオゲネスは乞食のように暮らしていた。

いつも穴だらけ、つぎはぎだらけの汚い衣を身にまとっていた  )

たとえ誰かが 新しい衣を贈ったとしても、彼はそれを そのまま着ようとはしない。

まず 汚したり裂いたり 古ぼけさせたりして、それからはじめて袖を通そうというのだ。

彼は ソクラテスに会いに来て、無我について 話しはじめた……が

ソクラテスの 鋭い眼は、この男が 無我の人ではないことを 見通したにちがいない。

彼が 謙虚さについて話している その話し方は

非常に エゴイスティックだった。

ソクラテスは このように言ったという ーー 

あなたのその汚れた衣を通して 私に見えるものは

衣の その穴を通して 私に見えるものは

自我(エゴ)以外の何ものでもない。

あなたは 謙虚さについて語る……が

その言辞は 深いところにある 自我(エゴ)の核からきている ーー 

 

  これは よく起こることだ。

ん?     偽善とは このようにして起こる。

あなたがたには自我(エゴ)がある。

が、あなたがたは正反対のもので それを隠す。

あなたがたは 表面で 謙虚になる。

この表面的な へりくだりは 誰もだませない。

それは あなた自身を だましはするかもしれない。

だが ほかの誰おもだますことはできない。

汚れた衣の 穴のあいだから

あなたの 自我(エゴ)がのぞいている……

それは 常に そこにいる。

 

  これは自己欺瞞、それだけのこと。

ほかの誰も これによってだまされることはない。

これは、もし 熟していない自我(エゴ)を 投げ出そうとしたら 起こってくることだ。

 

  私の教えること、私の教えは 矛盾して見えるだろう。

だがこれは〈生〉の上では真実なのだ。

矛盾は 生命に固有のもの

だから私は あなたがたに、エゴイストであれ と 教える。

そうであることによって

あなたがたが 無我になれるように

私はあなたがたに、完全なエゴイストであれ と 教える。

自我(エゴ)を 隠してはならないよ !  

隠したら 偽善が 生まれてくる。

それに、熟していない現象を相手に 奮闘してはならない。

まず それを熟させなさい

熟すのを 助けなさい。

それを 頂点(ピーク)まで もっていくがいい !  

怖れることはない、怖れることなど 何もない。

これこそあなたがたが 自我(エゴ)のもたらす苦闘に目覚めるようになる方法だ。

それが 頂点(ピーク)に 達するときには

そのときには あなたがたは、自我(エゴ)とは地獄だと 教える覚者(ブッダ)も私も 要らなくなるだろう。

あなたがたは 自分で それを知る ーー !  

なぜなら自我(エゴ)の頂点は、あなたがたの 地獄のような経験の頂点となるからだ。

それは 悪夢となる……

  そしてそのときには あなたがたは、それを教えてもらう必要は なくなっている。

ただ 落とすだけ !  

それを 持ち歩くことは むつかしいことになるだろう。

 

  人は 

苦しみを 通してのみ  知  識  に到達することができる。

論理的な議論では 何ひとつ 棄てられはしない。

何かを棄てることができるのは、あまりにも苦痛が大きくて もう持って歩くことができなくなったときだけだ。

あなたがたの自我(エゴ)は

まだ その痛みにまで 到ったことがない。

だから あなたがたは 依然持ち歩く ーー 

が、それは ごく自然なこと !  

私は あなたがたに それを落とせとは説得できない。

たとえ 説得されたように感じても

あなたがたは それを隠すだろう ーー それだけのことだ。

  熟していないものは

どんなものでも 投げ出すことはできない。

熟していない果実は 樹に しがみつく。

そして樹もまた その熟していない果実に 執着する。

もし 無理に この二つを分とうとしたら

傷があとに残るだろう。

その傷あとは ずっと残る ーー 

その傷は 常に青い果実のままで残り

あなたは 常に 痛みを感じることだろう。

 

  憶えておきなさい。

ものには すべて、成長のため 成熟のための

大地に落ちて 溶け消えゆくための時がある。

 

自我(エゴ)にも 自分の時がある。

それは成熟することが 必要だ。

だからエゴイストであることを怖れることはない。

あなたは すでに そうなのだから ーー !  

そうでなかったら、あなたはもう とうの昔に消えていたことだろう。

存在できなかったはずだ……

それが〈生〉の 仕組み(メカニズム)だ。つまり

あなたは エゴイストであらねばならない

あなたは自分の道を 闘い取らねばならない

あなたは 自分のまわりの 限りない欲望の数々と 闘わなければならない

あなたは 奮闘し……、そして

生き延びていかねばならない ーー 

 

  自我(エゴ)とは 生存のための手段

もし自我(エゴ)を 持たずして生まれてくる子供がいたら

彼(彼女)は 死んでしまうだろう。

生き延びることはできない。

不可能だ。

 

 

「03」おわり…「04」へ つづく

 

 

 

 

『マイ ウエイ』⚪流れ行く白雲の道

バグワン・シュリ・ラジニーシ

🔘質疑応答集

話者   バグワン・シュリ・ラジニーシ

翻訳   マ・アナンド・ナルタン

発行者   スワミ・アナンド・シャンタン

発行   RPJ

発売   株式会社 めるくまーる社