saleemのブログ

「 先ず一歩 内なる旅に 友は無し 」Zen柳

第一章 「涅槃(ニルヴァーナ)の境地」 (02)

(…二十五世紀前
ある日、朝 早くーーー
ちょうど今日のような日に、この経典(スートラ)が 誕生した )

千二百五十人の 僧たちがいた
それは シュラーヴァスティーという街で 起こった
当時の大都市だ
シュラーヴァスティーという言葉は「栄光の都市」を意味する

それは古代インドの栄光に満ちた都市のひとつだった
それは 九十万所帯を 擁していた
いまでは、その都市は すっかり消えている
ごく小さな村は ある
どんな地図を見ても その名前すら見つからない
名前さえ消えてしまった
いまでは、それは サヘト・マヘトと 呼ばれている

かつて そこにそれほど大きな都市が あったとは信じがたい
これが 生のあり方だ
物事は 変化しつづける
都市は 廃墟に変わり、廃墟は 都市に変わる・・・
生は 流転だ


仏陀は このシュラーヴァスティーの都を 愛していたにちがいない
なぜなら彼は
四十五年の伝道生活のうち 二十五年間、シュラーヴァスティーに滞在したからだ
彼は ここの人々を 愛していたにちがいない
人々は きわめて進化した意識を もっていたにちがいない
偉大な仏典のすべてが、ほとんどすべてが、シュラーヴァスティーで誕生している


この経典、「金剛般若経 ダイヤモンド・スートラ」も シュラーヴァスティーで生まれた
この経典のサンスクリット語の名は
『ヴァジュラッチェーディカー・プラジュニャーパーラミター・スートラ』だ
それは「落雷のように断ち切る知恵の完成」を 意味する
もしあなたが任せるなら、仏陀は 落雷のようにあなたを 断ち切ることができる
彼は あなたの首を 切ることができる
彼は あなたを殺し、再誕生するのを助けることができる


覚者(ブッダ)は 両方でなければならない
殺人者と母親 ーーー

彼は 一方では 殺さなければならず
もう一方では あなたに 新しい存在を与えなければならない
新しい存在が可能になるのは 古いものが破壊されたときだけだ
古いものの灰の上にのみ 新しいものが生まれる


人間は 不死鳥(フェニックス)だ
神話の鳥「フェニックス」は ただ神話ではない
それは 隠喩(メタファー)だ
それは 人間を表している
その フェニックスは 人間のなか以外 どこにも存在しない
人間は 再び生まれるために 死ななければならない存在だ


エスが ニコデモに言ったのがそれだ
ニコデモは 教授、学者、ラビ、エルサレムの大寺院を支配する 議会の一員だった

ある闇夜、彼は イエスに会いに来た
昼間は 勇気を出して 彼の許へ行くことはできなかった
人々が何と言うか こわかったのだ
彼には たいそう立派な身分があり、大いに尊敬されていた

浮浪者のような教師のところへ行くというのか ?・・・
あらゆるラビや学者たちから 憎まれている者のところへ行くというのか ?・・・
盗人や酔いどれや 娼婦たちといっしょに動いている者のところへ ?・・・

だが 彼のなかの何かが この男に会ってみたいと強く望んでいた
おそらく彼は イエスが歩いているのを 見ていたのだろう
寺院に来るのを 見ていたのだろう
彼は この男に対して無意識のうちに 深く感じるところがあったにちがいない
彼は じっとしてはいられなかった
ある夜、みんなが去り、弟子たちすらも 寝入ってから
彼は イエスの許へ行って 訊ねた
「どうしたらいいのでしょう、私もまた神の王国に入れるように入れるようになるためには ?」

エスは言った
「あなたが死なないかぎり、何事も不可能だ
あなたが死ねば、そのときにのみ神の王国に入ることができる
いまのままのあなたは 死ななければならない
そうしてはじめて、あなたは 真に自分の内的な存在のままで 生まれることができる」


本質的な存在が 表に現われるためには、自我(エゴ)が 死ななければならない
それが「ヴァジュラッチェーディカー・プラジュニャーパーラミター」の 意味だ
それは 落雷のように断ち切る
一撃のもとに あなたを破壊することができる
それは 仏陀の 最大の説法のひとつだ
それに 波長を合わせなさい


経典に入ってゆく前に
あなたが それを 理解するのを助ける 幾つかの事柄が理解されなければならない



(02)終わり・・・(03)へ 続く