(04)
へリンゲルは 禅師のもとで 学んでいた。
彼は、三年間ずっと、弓を 学んでいた。
師は いつも「よろしい。 あなたは何でも 良くやっているが、 充分ではない」と 言っていた。
へリンゲル自身、弓の教師になり、その的中率は 百%に なった。
それでも、師は「よろしい。 だが、充分ではない」と 言っていた。
「百%の 的中率に なったのですよ !」と へリンゲルは 言った。
「今や、 私の 矢の的中率は 百%だというのに、あなたは何を 期待するのですか ?
これ以上 どうしろとおっしゃるのですか ?
百%の的中率に なったのですよ。 なのに、これ以上 何を期待なさるのです ?」と。
すると その禅師は こう言ったそうだ。
「私は あなたの弓、的中率など関心はない。
私の関心は あなただ。
あなたは 完璧な テクニシャンに なった。
だが、矢が あなたの弓を離れるとき、あなたは自分自身を意識していない。 それでは無意味だ !
私は あなたの矢が どこに行こうが関心ない。
私の関心は あなたにある !
矢が弓から 放たれる時、
内側で あなたの意識もまた 放つことだ。
たとえ矢が 的を外れても、そんなことは 関係ない。
が、内なる的は 外さないことだ。
なのに あなたは それを外した。
あなたは 完璧なテクニシャンになったが、ただの 物まね屋だ」と。
だが、西洋のマインド、あるいは近代のマインドにとって、それは 非常に 理解し難い。
(04)終わり(05)へ 続く