saleemのブログ

「 先ず一歩 内なる旅に 友は無し 」Zen柳

第10話 ーーーQ&A 最初の質問 03

(…サンニャーシンの第一の特徴は経験に対してオープンであることだ )

彼は自分が経験する前に決めてしまったりはすまい
彼はけっして経験する前に決めつけはしない
彼はどんな信条システムも持つまい
彼は
「これはバイブルがそう言っているからそうなのだ」などは言わない
彼は
「これは仏陀がそう言っているからそうなのだ」などとは言わない
彼は
「これはヴェーダにそう書いてあるからそうなのだ」などとは言わない
彼は
「自分はその中にはいって行って
それがそうであるかそうでないか確かめてみる用意がある」と言うだろう


弟子たちに対する仏陀の別離のメッセージはこういうものだった
「覚えておくがいい」
それも,彼はこれを一生の間何度も何度もくり返していたのだ
最後のメッセージもこれだった
「覚えておくがいい
どんなことも,私が言ったからといって信じてはならない
けっして何ごとも自分がそれを経験しない限り信ずるでない」,と


サンニャーシンはたくさんの信条を持ち歩いたりはすまい
実際にはひとつもだ
彼が持ち歩くのは彼自身の経験だけだろう
そして,経験の美しさは
経験というものがつねにオープンであるということだ
なぜならば,もっともっと探検が可能なのだからーーー
そして信条というのはいつも閉ざされている
それは袋小路に来てしまう
信条というのはいつも片がついている
経験はけっして片づきはしない
それは片付かないままに残る
あなたが生きている最中に
どうしてあなたの経験が片づき得る ?
あなたの経験は成長しつつある
それは変化しつつある
それは動きつつある
それは〈既知〉から〈未知〉へ
そして〈未知〉から〈不可知〉へと絶え間なく動いている


最大の詩のあるものは未完成の作品だ
最大の書物のあるものは未完成の著作だ
最大の音楽のあるものは未完成の作品だ
仕上げられざるものにはひとつの美しさがある


こんな禅話を聞いた
ある王様がひとりの禅マスターのところへ庭造りを学びに行った
そのマスターは彼に3年の間教えた
そして,その大様は美しい大きな庭園を持っていた
何千人という庭師たちが雇われていた
マスターの言うことは何から何まで
王様はそれを彼の庭で実験してみる
3年後,その庭は完全に整っていた
そこで王様はマスターを招待した
その庭を見てもらうためにだ
王様はひどくおっかなびっくりでもあった
というのは,そのマスターは非常に厳しい人だったからだ
「彼は賞めてくれるだろうか ? 」
これが一種の試験になるはずだった
「彼は『よろしい
あなたは私の言うことを理解している』と言ってくれるだろうか ? 」ーーー


あらゆる心配りがされていた
その庭はなんとも見事なくらい完璧だった
何ひとつ欠けてはいなかった
そこではじめて,王様は庭を見せにマスターを連れて行ったのだ
ところが,マスターはのっけから悲しそうにしている
彼はあたりを見まわし
その庭をあちらこちらと動きまわった
彼はどんどんと深刻な顔になる
王様はとても恐ろしくなってしまった
マスターがそんなに深刻そうになったのを一度も見たことがなかった
なんで彼はそんなに悲しそうにしているのだろう ?
何かそんなに間違ったところがあるのだろうか ? ーーー


そして,マスターは何度も何度も頭を振って
内側で「ノー」と言っている

そこで王様は尋ねた
「どうしたというのですか
どこがおかしいのですか ?
なぜひと言もおっしゃらないのですか ? 」
「あなたはなんとも深刻で悲しそうになさる
そして,あなたは頭を横に振っておいでです
なぜですか ?
どこが間違っているのですか ?
私には何ひとつおかしいところは見あたりません
これはあなたが私に話してくださった通りのことを
私がこの庭で実際にやってみたものなのですよ」


マスターは言う
「これはあまりにも仕上がっていて死んでおる
これはあまりにも完成しておる
私が頭を振って『ノー ! 』と言っているのはそのためじゃ
庭というものは未完成のままでなくてはならぬ
落ち葉はどこにある ?!
枯れ葉はどこにある ?
一枚として見あたらないじゃないか ! 」

そして,事実枯れ葉は取り除けられていた
小径の上には一枚の落ち葉もなく
樹々には一枚の枯れ葉も
黄色くなった葉っぱもついていなかった
そういう葉っぱはどこにあるのか ?

すると王様が言うには
「私は庭師たちにな何もかも取り除くように言ったのです
できる限り完全にするようにと」


そこでマスターは言う
「これほど退屈でこれほど人為的に見えるのはそのためじゃ
神の物事というのはけっして仕上がりはせん」,と
そして,マスターは庭の外へ飛び出して行った
落ち葉が全部山と積まれていた
彼はかごの中にいくらかの枯れ葉を持って来ると
それを風にばらまいた
すると風がそれらを手に取り
枯れ葉と戯れはじめ
それが小径の上を踊りだした
そして,マスターは喜々としていた
そうして彼は言う
「ごらん
どんなに生き生きと見えるものか ! 」

そして,そこには枯れ葉とともに音楽という要素がはいり込んでいた
枯れ葉の音楽
枯れ葉と戯れる風ーーー
いまや,その庭にはひとつのささやきがあった
その前まで
それは墓場のように退屈で死んでいたのだ
その静寂は生きたものではなかった


私はこの話が大好きだ
そのマスターは
「これはあまりにも完璧だ
それが間違っているのはそこなのだ」と言う



(04)へ続く