読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

「二つの困難」04

 まず〈自分〉、それから〈あなた〉、そして その反映として〈私〉が 現れる。

〈私〉は 所有性の もっとも微妙な、結晶化された形態だ。

〈私〉と 口にしただけで、あなたは すでに神聖冒涜の罪を犯している。
〈私〉と 言ったとたんに、あなたは実在から 完全に切り離されてしまう。

もちろん、ほんとうに 切り離されてしまうわけではない。
そうでなければ、あなたは 死んでいるだろう。

だが、観念のなかでは、あなたは現実から 完全に切り離されている。

いまや あなたは 実在と絶え間なく闘っている。
自分の 根と闘っている。
自分自身と 闘っている。


 だからこそ、仏陀は「流木であれ」と言うのだ。

〈私〉という考えを 落としたとき はじめて、流木になることができる。
さもなければ、流木にはなれない。
いつまでも 葛藤が続く。

だから 瞑想しはじめると、瞑想は 非常にむずかしいものになる。

「ただ 静かに坐りなさい」と私が言っても、あなたにはできない。

こんな 簡単なことなのに。

「これは もっとも容易なことだ」と 人は思う。
教えられる必要などない。
人は ただたんに坐り、そこに いればいいだけだ。

だが、あなたには その「ただ坐る」ということができない。

それは、〈私〉が くつろぎのときを 許さないからだ。
くつろぎのときが 可能になるやいなや、あなたは 真実を見ることができるようになる。

ひとたび 真実がわかれば、〈私〉は 落ちざるをえない。
そうなれば、持続できない。

だから、〈私〉は 休暇すら許さない。
たとえ丘や 夏の行楽地に出かけても、〈私〉は そこですら けっして休暇を許さない。

人は、ラジオやテレビを持って行く。

すべての問題を携えたままで、そこでも 忙しい。

くつろぐために そこに行ったはずなのに、いつもと まったく同じパターンを続けている。

とても くつろげたものではない。


〈私〉というものは、くつろぐことができない。

それは 緊張を通じて存在する。
新たな緊張を 生み出し、新たな不安を つくり出す。

たえず新たな問題を 製造しつづけ、休むことを 許さない。
ほんの短い休みですら、〈私〉という家全体が揺らぎだす。

なぜなら 真実は これほど美しいのに、〈私〉は ひどく醜いからだ。


 人は いたずらに苦闘しつづける。
あなたは、自然の成り行き---おのずと起こること---に対して 闘いを挑んでいる。
いたずらに闘っている。

欲しがらなければ 自分のものになるはずのものを、欲しがる。
それどころか、欲しがることによって、逆に失っている。

だから仏陀は、「流れとともに漂いなさい。
大海に連れてゆかれるがままに任せなさい」と 言うのだ。


〈自分のもの〉、〈自分〉、〈あなた〉、〈私〉---これは 罠だ。

そして、この罠が 苦悩を、神経症を、狂気を つくり出している。

問題は、子供が それを 通過しなければならないことだ。
というのも、子供は「自分が 誰か」を 知らないため、ある種の存在証明が必要だからだ。

たとえ偽りの存在証明であるにしても、何もない よりはましだ。
ともかく、彼には 自分を証明する何かがいる。

「自分が 誰か」を 明確に知る必要がある。

それゆえ、偽りの中心が つくり出される。
〈私〉は 真の中心ではない。

それは 偽りの中心だ。

実用的だが 見せかけのもの、自分によって 捏造されたものだ。

それは 真の中心とは 何の関係もない。


 あなたの 真の中心は、あらゆるものの中心だ。

あなたの 真の自己は、あらゆるものの自己だ。

その 真の中心においては、森羅万象がひとつだ。
ちょうど、光の源の太陽においては あらゆる光線がひとつであるように---。

遠ざかれば遠ざかるほど、それらは 互いから離れていく。


 あなたの 真の中心は、あなたの中心であるだけでない。

それは 全体の中心でもある。

だが、私たちは 自分だけの ちっぽけな中心を つくり上げている。
自家製の、自分勝手に こしらえたものだ。

それは 必要ではあった。

なぜなら、子供は 境界線、すなわち「自分が誰か」という考えなしに 生まれてくるからだ。

それは 生き延びるために必要だ。

どのように 生き延びるのか。
彼は 名前を与えられなければならないし、「自分が誰か」という考えを与えられなければならない。

もちろん、この考えは 外側からくる。

たとえば、「あなたは美しい」と 誰かが言う。

「あなたは知性的だ」と 誰かが言う。

「あなたはとても生き生きしている」と 誰かが言う。

あなたは、こういう人びとの言葉を 集めつづける。


 あなたは、人びとの言葉から 自分のイメージを まとめ上げる。


…「二つの困難」05に 続く

MEDITATION
THE FIRST AND LAST FREEDOM by OSHO,
「新瞑想法入門」
(翻訳) スワミ・デヴァ・マジュヌ
(発行) 瞑想社
(発売)(株) めるくまーる